森の小さな恩返し
森のせせらぎに足を浸していたエルフの少女、ココは、にへらと笑って小さな木の実を差し出した。隣に座る旅人の女性、ヴェロニカは目を丸くする。
「まあ、綺麗。どこで採ったの?」
「あっちの岩陰! 凄く甘いんだよ。ヴェロニカがいつも美味しいスープを作ってくれるから、お返しだよ」
ココは鼻を鳴らし、少し照れくさそうに頬を指で突いた。ヴェロニカは木の実を受け取り、大切そうに掌に握る。
「スープのお返し? そんなの、ただの趣味よ」
「違うもん! ヴェロニカのスープを食べると、元気になるんだ。不思議な力みたいにね」
ココは川の水をぱしゃりと跳ねさせ、いたずらっぽく笑った。
「それで、その魔法のスープに何か贈りたいって思って、頑張って探してきたんだから!」
ヴェロニカは思わず吹き出した。ココの真っ直ぐな瞳に見つめられ、胸の奥がじんわりと温かくなる。
「ええ、とても嬉しいわ。わざわざ見つけてきてくれて、心から……本当に、すごく嬉しい」
ヴェロニカがそう伝えると、ココは飛び切りの笑顔を浮かべ、再び川へ足を戻した。木漏れ日が二人の周りに降り注ぎ、森の静けさが優しく包み込んでいく。
「次はもっと甘い果物、探してくるね!」
「ふふ、楽しみにしてるわ」
二人の穏やかなひとときは、森の囁きに溶けていった。
呪文
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