西暦2074年東京(完)
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彼女につられ、少女の目をのぞき返す。
柘榴石に似たその目を見つめると、
時計の文字盤が浮かび上がってきた。
時計の針は逆さま、つまり反時計回りに回っていく。
急にまぶたが重くなってきた。なすすべもない。
夢を見た。
女性警官の先導のもと、私と白衣の少女が楽しそうに未来の街を歩く。
私がそこにいる、ということは、これは誰の視点だろうか。
そう疑問に思っていると、
ふと目が覚めた。
見渡すと、私が未来に来てから最初に見た夜の町だった。
女性警官と白衣の少女を探す。町を行きかう人の中に二人の姿はなかった。
お礼も言わせてくれないのか。
そう思いながら振り返ると、一本の路地が伸びていた。
迷い込んだときには何本もの路地が伸びていたのだが…。
路地をまっすぐ進む。空は少しずつ明るくなり、空気はからりとしたものになる。
進み続けると、見慣れた町が見えた。
無事2024年に帰ってこられたようだ。
進んできた路地を振り返る。
路地などない。
そこには廃屋があるだけ。
路地があったはずだ。そのせいで私は50年後の未来に迷い込んだ。
廃屋をのぞき込む。
かなりの間放置されていたようで、窓は割れ埃が積もっていた。
割れた窓から部屋を覗く。
部屋の真ん中に机があり、
机の上には警察官の制帽が置いてある。
部屋の奥には赤い文字盤の壁掛け時計とハンガーラックが見える。
ハンガーラックには埃をかぶって黄ばんだ白衣が掛けられていた。
完
PixAIにて作成
model: VXP Type-A (1.6) Type-A
呪文
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