うちの生徒_黒瀬 理央
(……あの男……また見てしまった)
脳裏に再生された。黒ずくめの姿が街灯の薄明かりの中で蠢き、ベルトを緩める無機質な金属音。そして、草むらに向かって勢いよく噴き出す白濁……。理央の下腹部が熱く疼き、思わず両脚を擦り合わせた。スカートの中の太ももが密着するたびに、ショーツに滲んだ湿り気が擦れて微かな音を立てる。
**くちゅ……**
「んっ……」
誰もいない部屋とはいえ、自分の息遣いが恥ずかしいほど昂っている。ページを開いていた本はとっくに意味を失い、開かれたまま膝の上で置き去りになっていた。指先が震える。喉がカラカラだ。グラスを持ち上げて冷たい紅茶を一口含み、火照った舌を潤そうとする。だが効果はなかった。むしろ冷たさが逆に身体の奥を掻き乱し、あの生々しい白い塊を思い出させるばかりだった。
(ダメなのに……こんな昼間に……)
理性のブレーキがかかりかける。だが次の瞬間には、もう手がブラウスの襟元に伸びていた。慎重に第一ボタンを外す。第二……第三……。ボタンが解放されるたびに呼吸が浅くなる。首筋を滑っていく鎖骨の影が妙に艶めかしく見える。鏡越しに見たことのある自分の肌色と、今目の前にあるそれが同じものだと信じられない。そこには欲望に濡れた別の生き物がいた。
ブラのカップに収まった膨らみはまだ瑞々しい青さを帯びていたが、先端が硬く尖っていた。指先で布地を押し当てれば――
**ぴくん**
「っ……!」
声が漏れた。反射的に唇を噛んで呑み込む。だが遅い。すでに甘い電流が脊髄を駆け上がり、背筋をゾクゾクと痺れさせている。ゆっくりと左右から乳房を持ち上げてみた。弾力がありながらもしっとりとした肉感。自分の手の平の体温が伝わってきて、心臓の鼓動と同じテンポで脈打つのが分かる。
(もっと……強く……)
親指と人差し指の腹で乳首を挟む。摘まみ潰すように少し捻ると――
**ぴちゅ……くちゅ……**
ショーツ越しでも蜜が溢れてくるのが分かった。布の表面が濡れて貼り付き、クロッチ部分を歪ませていく。焦燥感に急かされ、スカートの裾をたくし上げて腿の付け根へと手を滑らせた。直接触れた花弁は既に熱を孕み、濡れて薄い貝殻のようにパックリと割れている。指が触れるとすぐに粘膜が反応して震え上がった。
**にちゃあ……ねとぉ……**
「ふあっ……はぁ……はぁっ……」
もう声を殺すことなどできない。意識せずとも吐息が切なく震え、喉奥から漏れ出てしまう。腰が自然と前後に揺れて止まらない。右手の指でクリトリスを捏ね回し、左手で胸を弄りながら――瞼の裏ではあの不審な男の影が次第に形を持って迫ってきた。生臭い空気が鼻腔を襲う錯覚さえ覚え、同時に彼の怒張がすぐ目の前に突きつけられる映像が脳を埋め尽くす。
(ああ……あれを……)
想像上のそれは想像以上に醜悪で逞しかった。亀頭が赤黒く腫れ上がり、包皮の隙間から透明な先走りを垂らしている。雄の象徴として堂々と屹立し、こちらを見下ろしているのだ。理央は唾を飲み込んだ。恐怖とは異なる期待で喉が鳴る。ゆっくりと屈み込んで顔を寄せると、蒸れた匂いが強烈に鼻腔を撃ち抜いた。
**むわぁっ……!**
(これが……本物の匂い……)
視界が霞む。涎が自然に湧き出てきて、唇から零れそうになる。我慢できずに亀頭の先端に舌を伸ばす。ぴちゃっと音を立てて触れた瞬間、熱湯のように滾る感触と共にしょっぱさが広がった。
**ぺちょ……れろ……ぢゅる……**
(美味しい……なんて……嘘…こんなの……)
脳が混乱する。けれど本能は正直だった。舌全体で舐め回しながら幹を支え持ち上げようとする。両手で竿の根本を包み込み、根元から先端へと何度も往復させた。血管の隆起が指先にハッキリ伝わってくる。熱くて硬く、脈動する命の鼓動だ。これが――
(これが……私の膣を貫こうとしているの?)
想像がさらに加速する。床に押し倒され、ストッキングを乱暴に裂かれるシーン。薄いナイロン生地がバリッと悲鳴を上げて破け、白い太ももがあらわになる。男の腕が強引に脚を割って入り込んでくる。
**ぐり……ぐぱぁ……**
指が陰唇を強引に押し開いた。内部の粘膜が外気に晒されて冷やりとした刹那、熱い鉄のような硬さがそこに触れた。亀頭が浅く潜り込むだけで入口が押し広げられる圧迫感。理央は必死に首を振った。
「いや……待って……そんな大きいの……挿らないから……あっ!?」
言葉とは裏腹に身体は抵抗を弱めるどころか、受け入れ準備を進めていく。膣壁が波打ち、愛液をさらに分泌させて滑りを良くしていく。
**どぷっ……ねちゅ……じゅぷぷ……**
男は聞く耳を持たなかった。体重を乗せて一気に腰を沈めてきた。
**ばちゅんっ!!**
「ひぐぅっ……!?」
衝撃。息が止まる。内臓を押し上げられる苦しさと、同時に電流が弾ける快感。目尻から涙が零れ落ちた。痛いのか気持ちいいのか分からない混沌の中で、男は容赦なく抽送を始める。
**パン……パァン……ズチュ……ヌチャ……!**
律動に合わせて声が出る。最初は悲鳴に近かったのに、次第に甘く掠れていく。
「あんっ……ああっ……あんんっ……!」
(もっと……深く……奥まで……)
無意識に両脚が男の腰に絡みつき、さらなる結合を求めて締め付けていた。ピストンが早まり、膣内の空洞を埋めるように突き込まれる度に、子宮の入り口がノックされる。理央はシーツを握りしめた。爪が皮膚に食い込むほど強く。
(くる……何か……すごいのが……来ちゃう……)
快楽の津波が背骨を這い上がる。全身が激しく痙攣し始めた。
「ああっ!イく……イっちゃうよぉ……!あぁあぁぁぁ!!!」
絶叫とともに膣壁が激しく収縮した。射精を促す動きに男の呻きが重なる。理央の腰を鷲掴みにされ、最奥に思い切り叩き込まれた瞬間――
**ドピュゥゥゥ!びゅるるっ!!びゅるぅ!**
「あっぁあああぁ!!熱いぃ……中で……ドクドクって……!」
胎内で脈打つ熱源。大量の粘液が膣内を満たしていく。あまりの量に接合部から白い泡が逆流してきた。それでも男は動きを止めない。最後の一滴まで搾り出すように腰をねっとりとグラインドさせている。
(すご……い…まだ出て……おなか……いっぱいで……)
恍惚と虚脱が入り混じる意識の狭間で、理央は涙を流していた。満たされた感覚と喪失感が同時に押し寄せ、理性は完全に霧散している。ただ体だけがまだ快感の余韻に震え続けていた。
ふと意識が浮上する。リビングに戻ってきた。温まったフローリングの上で仰向けになり、息を荒げながら天井を見上げる。床には脱ぎ捨てたブラウスとスカート、破れたストッキング。愛液と汗で湿ったショーツが太ももにまとわりついている。夢と現実の境界線がぼやけ、どちらが本当なのか分からなくなる。
呪文
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