僕の好きな花屋さん
当然興味がないってことも全然ない。
でも、なんとなく、本を読んだり陸上部で長距離走を走ったり、そんな日々が好きで気がついてみたらずっと一人だった。
アニメやラノベで主人公がハーレム状態もてまくりなのを、こんなんないだろ!って苦笑したりして、でもうらまかしかったりして見るのは嫌いじゃなかった。
帰り道、花屋の葵さんに偶然会った。
いつものエプロン姿じゃなくて、私服のブラウスになんだか少しどぎまぎしてしまった。
夕暮れの、少し風の吹く土手の上の帰り道を、なんとなく二人で並んで歩いた──
ふと隣を見ると、葵さん、ちょっと涙を浮かべてた。ちょっと微笑んでた。
僕に全然関係のないことでなんだろうけど…。
時間が止まった気がした。
そして思った。
ああ、僕にはハーレムはいらないんだな。
呪文
入力なし