夜の道に立つ猫
「なんで? 似合ってるわよ?」
「なんで変装がこんな……」
「今、フェンテスで私たちの世代で流行ってるニャン娘スタイル。こっちの方が入りやすいから」
任務でこんな格好をすることになるとは。
敵国の諜報活動で、安全に情報を手に入れるためとはいえ、普段では決してしない格好だ。しかも、服を選んで相棒はちゃっかり露出が低い服を着ている。
というより、こんな格好で入る場所、アンダーフロアという所で有益な情報が手に入るか甚だ疑問だ。
「あの、行こうとしてるアンダーフロアってなんなの?」
「会員制のお店。そこで接客するの」
「へ?」
「お金持ちとかお偉いさんとかがよく来るんだって」
「へぇ……」
若い女の子に接客してほしい大人が通う店。どこの国でもその嗜好は変わらないらしい。
目的地に着くと、見上げるほどの高いビルに入り、地下へと続くエレベーターに乗り込む。
「とりあえず、笑顔で頑張りなさい」
「……貴女の方が表情を出すのは苦手でしょ」
下がっていくエレベーターの中でそんな会話をしていると、到着したとエレベーターが告げる。
深呼吸をして、開いた扉に飛び込んだ。
呪文
入力なし