クトゥルフの刺身
「お、ひさびさじゃない!今日『くとるふ』のいいのが入ったんだよ。持っていきな!」
幼馴染の網田くんがそう言って締めたばかりの「くとるふ」を渡してくれた。
この辺りでは昔から「くとるふ」を食べる習慣がある。他の地方では見かけないが、昔は地球を支配していたこともある種族だったんだとか。
実家に着くと母が「いい『くとるふ』だねぇ」と満面の笑みだ。
夜は宴だ。もともと「くとるふ」はこの辺りでも祭りで食べるような特別なものなのだ。
宴のメインディッシュは刺身の盛り合わせ。マグロやサーモンと一緒に中央にデンと「くとるふ」が鎮座している。
一口「くとるふ」を食べる。正直かなりクセのある味だ。しばらく都会暮らしでこの味から離れていたせいでちょっと胃袋もびっくりしてしまう。
「おお、大丈夫か?」
父の心配する声が聞こえたが、続けて二口。そうだ。この味だ。これがここの味なんだ。
胃袋のビックリもおさまり、たっぷり「くとるふ」を堪能できた。
「くとるふ」を食べるためにも、毎年ちゃんと帰省しよう。そう思った。
※1枚目はSDXL、2枚目はSD1.5で生成
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