"愛"
君はかつて、隣を歩いた。
君はかつて、歌を歌うのが好きだった。
君はかつて、ひだまりの中を生きる者であった。
17.
今は、楔を打ち込まれ、死ぬことすらできはしない。
君の”自由”は未来永劫潰えた。
私は17代目。もはや、君を目にすることがなければ伝説。いや与太話だとしか思えないよ。
私の母も、祖母も、そうだった。
きっとこれから先はそうで、いづれそれすら途絶え消える。
そのときでも君は、最初の約束を果たすために、ここにこうしているのだろう。
私はもはや義務で、ここに来て、君の永遠の孤独を癒やすのだ。
太古の昔の誰かの愛しい人の、慰みに、暇を潰すのだ。
224.
もはや、君を殺す技術すらあるのでは。
そう思い、殺してみようかと話も出る。
だけれど、しかし、それをすると祟られるのではないかと、人の命すら簡単に生やして絶やせる時代に
老人が言うのは滑稽でしかない。
…しかし、”あれ”を目の当たりにし、そして我らに”人懐こい象”のように接するあの怪物を、
確かに殺すのは、恐ろしいのだ。
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世界の終わり。その日がきた。
この宇宙に存在する、エネルギーの枯渇は限界にきている。
それでもあれは、過去の映像と、寸分違わず動いている。
我々はもはや、電子の海を彷徨う電気信号、”情報”でしかない。
肉を亡くし、金属の身体すら動かすエネルギーが絶え、絶対零度に等しい世界において、超電導を生かした
永久機関にて、電子のやりとりをするのみ。
それなのに、あれはまだ。そこにいる。
あれはなんのだ。
.①
約束しよう。
君の世界を、君が犠牲になって守った世界を。
この世界がどんなに醜く、醜悪で、君が正しかったかを証明するために。
私は、未来永劫君の正しさを証明し続けよう。
私は、未来永劫この世界を余すことなく見続けよう。
私はただ"君が生きている世界が正しい"それを証明するためだけに……。
全ての生き物が”君がいたほうがよかった”と納得し、頭を垂れる。
それだけの為に。
……ああ。間に合ってさえいれば。
呪文
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