夏と共に去りぬ
季節が過ぎれば別れもある
それは八尺様とて同じ
夏のイメージが強すぎるが故に、夏が終われば咲く彼岸花が見頃を迎える頃、彼女は去る
無論来年も現れる怪異
子供達にとっては危険な存在
しかし、ある時期から彼女は『長身のスタイルの良い美女の怪異』となり、男の子はおろか大人の男達も魅了する存在となってしまった
何度彼女に劣情を抱かれ、彼女に精を貪られた者もいようか
しかし、秋が深まろうという時期になると、彼女は去る
子供達にとっては朗報
しかし何故寂しく感じるのだろう?
我々にとっては良い事のはずなのに……
「……ぽっ。ぽっ……」
まるで「また、来年」とでも言いたそうな感じに、笑顔で手を振っている
危険な存在なのに、何故か別れが寂しい
怪異の別れに何故残念な気持ちを抱くのだろうか?
しかし、彼女は手を振った後、縄張りである集落の奥へと去っていく
また、来年の夏まで、彼女は姿を消していく……
さらば、八尺様……
呪文
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