本日のランチ
『食彩探訪』12月号特集
「12月3日 冬を優しく温める──豚バラ白菜の重ね蒸し定食」
文・撮影:田嶋 達郎(グルメ記者)
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寒さが増してくる12月初旬。
昼どきに求めるのは、身体の芯からじんわり温まる“やさしいごはん”。
今日の主役 豚バラ白菜の重ね蒸し は、その理想ど真ん中に着地した一品だった。
器にたっぷり盛られた白菜は、
蒸しあがったことで白と黄緑のグラデーションがほんのり透き通り、
出汁を吸ってしっとりと柔らかい。
その上にふわりと重ねられた豚バラは、
余計な脂が落ちて驚くほど軽やか。
口に運べば、
とろけるような豚の旨みと、
白菜の甘みがひとつに溶け合い、
“冬のごちそうは派手さじゃない”としみじみ思わせてくれる。
中央にのせられた刻みねぎの香りがまたいい仕事をしていて、
全体をキュッと引き締めてくれる。
これは箸が止まらないやつだ。
そして定食の仲間たちも実に頼もしい。
湯気の立つ味噌汁は、寒い日の昼に欠かせない安心感。
白ごはんは、蒸し汁の旨みをすくい上げてごちそうへと変わる。
ほうれん草のおひたしは出汁の香りがやさしく、
たくあんのコリッとした歯ざわりがいいリズムになる。
派手ではない。
けれど、丁寧で、温かくて、ちゃんとおいしい。
豚バラ白菜の重ね蒸しは、まさに“冬のお昼の正しい答え”だった。
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◆次回予告
12月4日:出汁が染みるあの味──「カレイの煮付け定食」を予定。
湯気の向こうに、また明日の幸せがあります。
──今日も、いい蒸し加減だった。🍲✨
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