ノスタルジック春の風景4/スマホ壁紙アーカイブ
【静寂の蔵書、春のささやき】
この大学図書館で働いて、もう何十年になるだろう。
春が来るたび、入り口に立つこの桜の木とともに、私は多くの学生たちを見送ってきた。
夢を語り合う者、静かに本と向き合う者、恋に悩む者――
この図書館の机に座った彼らは、やがて巣立ち、それぞれの道を歩んでいった。
古びた本棚の奥には、何十年も前の学生が書き残したメモが挟まれていることがある。
ふと目にすると、その文字の向こうに、若き日の彼らの姿がよみがえる気がする。
この桜もきっと、同じように見てきたのだろう。
変わらぬ姿で、春のたびに優しく枝を広げ、ここを訪れたすべての人々を包み込んできた。
けれど、私の司書としての時間はそろそろ終わりに近づいている。
次の春、私はもうここにはいない。
それでも、この図書館と桜は変わらずあり続ける。
これからも、新しい誰かが本を開き、夢を語る場所であり続けるだろう。
そう思うと、不思議と寂しさはない。
春風に舞う花びらの向こうに、
次の時代を築く若者たちの姿が、ぼんやりと見える気がした。
呪文
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