敗者
私は、加藤 薫選手に長距離5000m競技に3度挑戦して3度ともラスト一週で追い抜かれ2位だった。
長距離5000mは私の最も得意種目なのに、アイツには一度も勝てない。
私は全力で努力したよ。あらゆる想定を考察して対策を考えた。今年は高3で最後の大会だったしね。
アイツが膝を痛めているとの情報もあって、今年は自信があった。
相手の怪我を喜ぶなんて最低だと思ったが、それでも私はアイツに勝ちたかった。もう執念に近かった。
今回の競技のラスト一週で、アイツは4位だった。
やった! 私勝ったと思った。思わず頬が緩んだ。と同時に怪我人に勝って嬉しいか? との良心が頭を過った。
その時だった。凄い風圧を感じると同時に、アイツが私を追い抜いた。私より10m以上の差で1位だった。
私は2位だった。私は結局、一度もアイツに勝てないまま、大学受験のために陸上部を去るのだ。
ドラマ的な演出なら大泣きするとこだろうが、大笑いしてしまった。周りの部員はドン引きしてた。
泣きながら大笑いする私を立たせようとする部員を監督は、首を振って止めた。監督の配慮が嬉しかった。
その横を爽やかにグランドを去っていく、加藤 薫選手と目が合った。アイツは立ち止まって丁寧に頭を下げた。
そのさりげなさに品格を感じた。自分を恥じたよ本当に・・・アイツは凄い。私なんか敵う相手じゃない。
世の中に天才という者は、本当に存在する。
呪文
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イラストの呪文(プロンプト)
イラストの呪文(ネガティブプロンプト)
- Steps 20
- Scale 5
- Seed 2290061609
- Sampler k_euler
- Strength 0.8
- Noise 0.1
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- Scale 5
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- Noise 0.1