マルは唐揚げを作るニャ【マル育成計画外伝】
ネコノラーメンの始祖であり、元祖
拉麺猫乃の店主ネコノは、今日もマルを鍛え上げていた。
だが今日のテーマは──ラーメンではなく、唐揚げである。
「マル、今日は唐揚げだ。ラーメンのサイドも極めねばな」
「ニャ!やった!…けど、なんで急に?」
「ラーメンと唐揚げは、兄弟みたいなもんだろうが」
「へ、へぇ…(そんなもん?)」
ネコノ系マルは、唐揚げ修業に突入した。
衣の粉配合、漬けダレの味、揚げ油の温度、そしてタイミング──
ラーメンとはまったく違う領域に、マルは日々格闘していた。
「…むむっ、今日のはちょっと固い」ネコノが眉をひそめる。
「うぅ…頑張ったのに、またダメかぁ~ぶー!」
「マル、今日はもう寝ろ。いいか?
唐揚げってのは、噛むたびにうま味がじゅわっと溢れる…そうでなくちゃダメだ。
だがな、今のお前は…まだ“揚がって”すらいねぇよ」
「うっ…!」
ネコノの言葉は、鋭くも、どこかあったかかった。
マルは思った。
(やっぱり…師匠、かっこいい…)
ネコノ系マルは、次こそ褒めてもらうために、
翌朝、目覚めと同時に鶏肉を切り始めた。
──それはすでに日課になっていた。
そんなある日、厨房に謎の客が現れる。
「おい、今日の唐揚げ、マルちゃんが揚げたって?」
その声の主は、伝説のグルメ探偵・タルタル伯爵。
サングラスの奥の目が、マルの唐揚げを見据えている。
「これは……黄金色の表面、完璧な泡の抜け方……いただく!」
一口食べて、伯爵は言った。
「この唐揚げ……未来を感じる!」
厨房の奥で、ネコノがにやりと笑っていた。
「ふっ、やっと“揚がって”きたな、マルよ」
「し、師匠……!」
その日の営業が終わると、ネコノは
マルに一皿の唐揚げを差し出した。
「クリスマスだしな。これ、お前に作った“チョコレート唐揚げ”だ。
甘いもんも食べたいだろ…ニャニャニャ」
「師匠、それは…斬新すぎるニャ!!」
マルは笑った。
師匠も、照れくさそうに笑っていた。
こうして、マルの唐揚げ修業は続いていく。
いつか、自分だけの“ネコノ系マルからあげ”を完成させるために──
ゆっくり、でも確実に、揚げていくのだった。
※元ネタ
「ネコノ系マルは一癖二癖あるでニャ【マル育成計画】」(猫乃つづりさん)
https://www.chichi-pui.com/posts/ee7f85e8-e316-4d53-a973-a8263b544979/
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