【樹海のかみさま】月光の救い、翠と涙の再会
【ハーメルン掲載】紫陽花の季節に会いましょう著:樹海のかみさま ーメス堕ちENDを回避したい男の娘ヒロインは闇堕ちしてみることにしたー3章24話:救いよりインスパイア
「自己満足だと分かっている。納得させるためだと分かっているんだ。寒かっただろう? 苦しかっただろう? 私にはその手を温めてあげる事など出来ない。だからせめて、お前が寒くないように……」
彼は泣きながら袋を開けた。
中には黄土色の手袋。高級そうだけど、娘に贈るにはどうにも似合わない。けれどそれは不器用な父親の精一杯だ。
「ははは、可愛くないよな。すまない、私は昔からこういうのは駄目なんだ。でもこれが1番暖かそうだったんだよ。本当はお前と選びたかった。あぁ、駄目な父親なんだ……」
ゼンマイの切れた人形の如く、地面に座り込んでしまう。その後ろ姿に声をかけられるはずもない。僕に出来るのは翠雨さまを見つめることだけだ。お願いだから、救いを与えて欲しい。
翠雨さまは僕の視線に気付き、そしてふっと息を吐いた。溜め息ではなく、喉の奥まで出かかった言葉を封じ込めるように。そして一言。
「本当に、どうしようもないですね」
坂を下り、翠雨さまは俯く頚城先生の顔の高さまでしゃがみ込む。そして手袋を拾い上げた。
彼の手からは手袋が消える。彼岸の存在が触れ、自身の所有物とした者は人間の認識から消失する。即ち手袋が消えたことこそ、翠雨さまの存在を証明する事象なのだった。
「似合わない。でもサイズはピッタリ。つくづくセンスがないだけの人」
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