XXXX年故郷を訪ねて
古い資料を基にかつて大都市と呼ばれた地を探索していたが、全てが荒廃しており目ぼしい物は無かった。
それでも、図書館に残った書籍や映像ライブラリーなどは貴重な資料として一部を持ち帰る事にした。
もう調べる事も無いかと思われた時に、周囲を探査していた隊員が叫んだ。
「おい、小さいがエネルギー反応があるぞ!」
俺たちは色めき立った。
「よし、すぐに向かおう!」隊長の声に全員が動き出す。
反応があった地点に到着すると、そこには小さな建物が立っていた。
殆ど崩れ果て、瓦礫の様だったが反応はその地下からだった。
瓦礫を取り除き、地下への入り口を見つけた、注意深く降りていくと小さな機械音が聞こえてきた。
「何か動いているのか?」隊長は隊員に指示し、斥候に向かわせた。
「隊長!こっちにカプセルがあります!」
声がする方へ向かう。
そこには小さなランプが点滅するカプセルがあった。
「電力が供給されているのか!」
表面の埃を払うと、中が見えた。
「!?これは!」
中には小さな子供が寝ていた。
「我々が知る子供と違う様だな」隊長が呟く。
「体が筋肉質と言うよりも柔らかい感じ、もしかしたら、これが女なのか?」
隊員たちがざわめきだす。
「文献では女は胸が膨らんでいるとか言われてなかったか?しかし、この子は我々と同じように平だぞ?」
隊員の一人が呟く。
「まだ子供だからじゃないのか?」別の隊員が答える。
その時、斥候に出ていた隊員から連絡が入った。
「こっちの大きな部屋に人が居るぞ!」
全員が色めき立った。
急いで向かうと、先のカップセルと同様にランプが点滅する部屋があった。
窓から覗くと人が寝ている。
「おい、胸が膨らんでないか?」
一人が言うと全員がざわめきだす。
「落ち着け!まだ調査は始まったばかりだ、二手に分かれ、この建物を調査する。」
隊長はキビキビと命令を下す。
「1班は俺と他に人が居ないか探索!2班は副隊長と、この装置の資料や文献等を探せ!」
「了解!」
調査の結果、居たのはこの二人だけだった。
集めた資料は今では古代文字と呼ばれる文字ですぐには読めなかったため、解析班に廻され解読が行われている。
「これで有性生殖が復活するな」隊員たちが、小声で話し合っている。
有性生殖、それは遠い過去のものと成っていた。
地球から逃げ出した人類が見つけた生存可能な星で数百年前に発生した女性だけに発症する奇病で女性の殆どが亡くなった。
僅かに残った女性も年と共に減り、現在は一人も居ない。
男達は人類存続のため、人口子宮とクローン技術を使い男だけの世界を作って来たのだ。
「この女性たちは、俺たちの希望となるかも知れん!絶対連れて帰るぞ!」
「おーー!」
隊長の言葉に隊員の士気が上がる。
呪文
入力なし