【セナ】セナの静かな朝の思索
【小説家になろう掲載】きつね雨著:長生きTSダークエルフはひっそり暮らしたい〜今はごく普通の占術師なので、どうか放って置いて下さい〜本編②47 呼び寄せよりインスパイア
「ふぅ」
ゆっくりと腕を動かすと、お湯の表面が波打った。チャポチャポと水音がして、朝陽をキラキラ反射している。
セナはお風呂を好むが、この水音が特に好きだった。水の下位精霊ウンディーネの悪戯なのか、物理法則の影響なのか分からないが、彼女にはあまり関係ない。
「精霊、か」
つい、いつもの独り言。さっきまで幸せ気分だったのに、波紋揺れるお湯を見ていたら考えてしまう。
独特の存在。今となっては自身の日常に溶けた。そう。精霊かれらに違和感など抱かないし、当たり前に精霊魔法だって使っている。精霊視などないから姿は見えないが、懐かしい「あの世界」とは明らかに違うのだ。
それでも、ふとした時に心の底で何かが澱むのを感じることがある。
それを言葉にするのは難しい。
例えるならば疎外感、忌避感。いや、あるいは畏れか。森の上位精霊エントであるミスズに教わってからは、その澱みが何なのか少しだけ理解出来ている。この世界にとって自分達は"敵対者"だ。異物と言い換えても良い。
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