抜刀生徒会長
日本刀を2本差し羽織袴姿に短髪、髭を蓄えた壮年の男である。
右目には縦に走る刀傷、油断ならぬ鋭い目つきでこちらを見ている。
身構える刀夜。
殺意はまだ感じられない。だがおそらくこちらの正体は知られているだろう。
しばらくこちらを静観していた男だが、確信したように口の端で小さく笑う。
特に威嚇的な行動を取ることもなく無言でゆっくりと刀を抜いた。その途端男の体から殺意が吹き出す。
なるほど、言葉は必要なしか。
あいつは・・・敵だ。
こうなってしまったら戦闘は避けられない。刀夜も覚悟を決める。
ならば先手必勝、手始めの挨拶とばかりに異能を発動し男に雷撃を見舞わせる。
空から襲う雷撃に対して男は自分の持つ刀を頭上に上げた。雷撃が男の刀の中程に命中し激しい閃光と爆発音がする。
しかし雷撃が男の体まで到達することはなかった。
驚く刀夜。
すかさずさらに雷撃を4発5発と男に向けて撃つ。しかし先程と同様、雷撃が刀に吸い込まれるように収束していく。
男の体にダメージは全く見られない。
妖刀の類か。
ゆるりと男が剣の構えを取った。
雷撃が効かぬのなら日本刀同士の剣戟になる。
刀夜の剣術の腕前は相当高い。さらに異能により身体能力強化もできる。
しかし相手は妖刀を擁する真のサムライ。
本物の剣術使いとの剣戟による真剣勝負は刀夜にも経験がない。
勝てるのか?
そんな小さな気の迷いは表に微塵も見せず、刀夜も自身の分身「夜刀」の刀身を抜く。
しかしこちらはあくまでも偵察が任務。殺すまではしない。
夜刀を霊装モードに切り替える。霊装モードは相手の体に致命傷を与えず精神を削り取る。
男は刀夜の剣を見て嬉しいかのようにまた小さくニヤリとした。
しかし動かない。剣は構えたまま、殺意を漲らせつつも静かにこちらを見つめている。
男の態度に刀夜の中に一瞬生じた気の迷いは消し飛んだ。
ふん、余裕か?、いいだろう、やってやる。
右手に分身をしっかり握り構えを取る。プラズマを纏う刀夜の体。
しばし睨み合う両者。
相手との距離は約20m、最初の一歩で自分の間合いに入れるよう、脚力に異能を集中させる。
「勝負!」
神速の剣を放つべく、刀夜が激しく大地を蹴った。
電撃生徒会長
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