アヤナギ荘の日常 #41 -Everyday Ayanagiso-
詩温は浴衣姿で歩いていた。
「あのっ、すみません!」
振り返ると、
若い女性スタッフが必死の形相で立っていた。
Tシャツ姿に名札を下げ、肩で息をしている。
「ど、どうされました?」
「いま、お化け屋敷でアクシデントがあって……
うちの“お化け屋敷”、人手が足りなくて。
その…あなた、雰囲気……
すごく幽霊役にぴったりだと思って!」
「……え?」
唐突なスカウトに、詩温は瞬きを繰り返す。
「いや、ちょっと待ってください。
私はただの通りすがりで……」
「お願い! 今夜だけでいいんだ!
もう誰も捕まらなくて困っててさ……!」
「いや、その……私は演技など……」
「大丈夫です!道に立って
“うらめしや~”って言うだけですから!」
両手をぎゅっと握られ、
逃げ場を失った詩温は小さく息をついた。
数分後。
白装束を身に纏い、暗がりに立つ詩温。
「……うらめしや……」
「ぎゃあああっ!」
彼女の低い声に、
通りかかった客たちが一斉に悲鳴を上げた。
青ざめて駆け抜けていく人々。
その背を見送りながら、詩温は静かに呟いた。
「……私、本当にここで何をしているのでしょう」
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