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医術・薬のあけぼの院

今宵も闇に紛れて人外の患者が訪れたようだが…

「我らの長を診て貰いたいのだが…」

あけ「えぇ、構いませんよ…どなたでも、等しく平等に診るのが私の基本ですから」

「ほぅ…ならば長をここへ呼ぶとしよう…ただし、治し切れなかった時はソナタの命を頂くぞ?」

あけぼのもこの言葉には流石に一瞬息を呑んだが、軽く息を吸い込むと何かを言おうとしたのだが…

彗「こいつの命をくれてやる訳には行かないぜ?何せ、こんな頼りない優男でも、診て貰いたい患者が待ってるからな…それに、治し切らないならってのが気に入らねぇ…」

声と共に青い長髪の精悍な青年がずい…と、あけぼのの前に進み出る

「小童、人間風情が…気に入らなかったら、どうする?」

にぃ…ッっと牙を剥いて笑う妖に、彗は不敵な笑みを返した

彗「切って捨てるまでだ。こっちも命懸けでわざわざ他国にまで来てんだ、意地でもこいつ(あけ)は守るぜ」

あけ「ちょっ!?彗さん?!私、自分の事くらいって…それに、治し切れないなんて言わせませんよ…私がここに呼ばれたのはここの神に見込まれたからです。ならば、私が治せないなんてあり得ないんですよ」

そうして彼はニンマリと笑った

眼鏡が行燈の光を反射して、その奥の瞳は見えない

その表情を見ると、妖は態度を改めて身を引いた

「ソナタはもしや…いや、失礼仕った。…改めて、我らが長を見て頂きたい」

あけ「私は兎も角、彗さんには後程改めて謝って頂きたい。…では、患者をこちらへ…」

言って胃術師は奥へと進んで行った

後に残った彗に、妖は先程とは打って変わって頭を下げた

「…すまなかった

彗「いや、別に俺は構わないが…あけが無事なら良いんだ」

「無事も何もあの医術師殿は…いや、我からは言うまい…では」

言って妖は自分達の長を連れに玄、関先に駐留させてあるカゴへと向かう

彗は一瞬腑に落ちないような表情をしたが、取り敢えずあけぼのがいる奥へと入って行った…

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