樹里亜との出会い
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僕は先輩のお願いを受けることにした。
正直、ちゃんとこなせるかわからない。
先輩が僕に期待するなら全力でその期待に応えたい。そう思った。
「早速だけど、樹里亜と会ってもらうわね」
先輩が部屋の隅に控えていたメイドに合図を送る。メイドは短く返事をすると部屋を出る。
しばらくして、ノックの音がして彼女が到着した。
「セシリア様、樹里亜お嬢様をお連れしました」
部屋に入って来たのは先輩を小さくしたような少女だった。
僕と同じ年というが年下に感じる。
「おねえちゃん、来たよ」
了解を得る前に先輩の横に座って抱き着いていた。
同年代よりも小柄な事もあるが言動や雰囲気が幼いから余計に年下に感じるんだ。
「おねぇちゃぁん」
「もう、甘えんぼなんだから……」
満更でも、いや、まさに鼻の下が伸びた顔で頭を撫でる。
「樹里亜、ちゃんと座ってね。うん、イイ子。向かいの人を見て」
「だれ?」
指さされた。
僕が彼女に自己紹介をして、先輩が学園での役割を説明する。
わかったとは言うものの彼女がどこまで理解できているかは怪しい。
「よろしくね、ショキ君」
本名を名乗ったけど先輩と同じくあだ名呼びになった。
「うん、こちらこそよろしく。樹里亜……さん」
「ちゃんの方がイイ!」
「えっと……」
「呼んでくれないの?」
悲しいと目で訴えて来る。
横目で先輩を見るとにやにやしている。
許可が出たと勝手に判断する。
「樹里亜ちゃん、よろしくね」
言って、手を差し出す。樹里亜ちゃんが握り返すと嬉しそうに握った手を振る。
「樹里亜ね、何にも知らないからショキ君にいっぱい迷惑かけると思うの……」
嬉しそうな顔が一転して悲しそうな顔になる。
「でも、おねえちゃんにもショキ君にも迷惑かけなくていいようにがんばるっ!」
今度は笑顔になる。
ころころと感情と表情が変わる。感情の上下が早く激しい、その時々の感情に即影響されているのだろう。
「だから、えーと……なんていったらいいのかな?」
語彙や知識足りないせいもあって言葉の表現もおぼつか無い。
でも、完全に無知な訳ではない。
自分のせいで人に迷惑をさせると理解しているなど、所々で幼いだけでない言動も見受けられる。
「あっ……」
僕は握手していないもう片方の手もだして両手で彼女の手を包む。
「その言葉の続きを見つけに学園に行くんだよ。その手伝いが出来るように僕も頑張るよ」
「うんっ!」
彼女は今、失われた時間を取り戻してる最中なんだ。
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