【マタタビ】18.それぞれの目的
【マタタビ】17.神の繭
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グリレの話はだいたい分かった。だが、大事なことをまだ聞いていなかった。
「お前たち黄昏梟は、神の繭を見つけてどうするつもりなんだ?」
俺が聞くと、グリレは力強い口調で言った。
「僕たちは、神の繭を確保し、より強固な封印を行うつもりだ。神の繭から神格が復活してしまったら、世界は今度こそ本当に滅んでしまう。僕たちは、この世界を守るために、必ず神の繭を見つけ出す必要がある」
グリレの瞳に、強い決意が見えた。俺は、グリレに対してクールな男だという印象を持っていたが、思った以上に熱い男だったようだ。これで、黄昏梟たちの目的は分かった。だが、もう一つ問題なのは——。
「越夜隊はどうなんだ? 奴らも、神の繭を狙っているのか?」
「それについては、俺から話すよ」
そう言って、先ほどまでシロと戯れていたグリルスが会話に参加してきた。
「越夜隊の話も、その耳で盗み聞きしたのか?」
俺は、後ろを歩くグリルスを振り返って聞く。
「そうだよ。この耳は“奇跡の残響”の一つで、遠くの音でも聞こえるんだ」
「それで、私たちの会話を盗み聞きして、星の樹の情報を得たの?」
シロが、グリルスを問い詰める。
「ズルい! 私が働いて得た情報なのに!」
シロが怒り出した。
「ごめん、シロちゃん! 今度、何か美味しいものを食べさせてあげるから!」
そう言ってグリルスは、手を合わせて謝った。
「許す!」
許すのか。シロの怒りを封じるのは簡単だな。そう思いながら、俺は、グリルスに話の続きを促した。
「話を戻してくれ」
「あー、ごめんごめん! 越夜隊の目的だったね! 奴らの目的は俺たち黄昏梟とは真逆で、神の繭を復活させて神格を制御下に置くつもりだよ」
薄々そうではないかと思っていたが、やはりそうか。
「越夜隊は、世界を滅ぼすつもりか?」
「だと思うよ。奴らは、世界に真の滅びをもたらして、次の文明の支配者になろうとしているからね」
噂には聞いていたが、越夜隊は相当ヤバい連中のようだ。この先、出くわさなければいいが。
「俺からも、質問していいかい?」
今度は、グリルスが俺たちに聞いてきた。
「シロちゃんとクロは、星の樹を見つけてどうするつもりなの?」
聞かれてシロは、即答した。
「どうもしないよ? ただ、見てみたいだけ」
俺とシロは、単なる好奇心でここまで来ただけだ。まさかこんな厄災に巻き込まれるなんて、思いもしなかったがな。シロの答えを聞いて、グリルスは笑い出した。
「アハハハハッ! いいなー、旅人は自由そうで。俺も、旅人になろうかな」
「グリルス、君は任務を投げ出すつもりか?」
笑っているグリルスを、グリレが睨みつける。
「いや、違うって。任務はちゃんとやるよ! でも、この任務が片付いたら、長期休暇を取って旅に出るのもいいかもしれないなーって」
グリルスは、遠くを見るような目をして言った。
「その時は、グリレも一緒にどう?」
グリルスは、グリレに声をかけた。俺は、断られるだろうと予想したが、そうではなかった。
「……考えておくよ」
グリレは、そっけなく答えた。だが、口元は微笑んでいるように見えた。この2人、思った以上に仲が良いのかもしれない。人間関係なんて端から見るだけでは分からないものだな。グリルスは、隣にいたシロにも声をかけた。
「ぜひ、シロちゃんも一緒に!」
「私は、やめとく」
「うそー!?」
グリルスが上げたショックの声が、狭い通路にこだまする。集団行動を好まないシロは、自由気ままな旅がしたいんだろう。俺は、悪くない提案だと思ったんだがな。広い青空の下、俺たち3人と1匹が笑いながら旅をしている光景が脳裏に浮かんだ。
だが、その光景が現実になることは——なかった。
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(次の話)
【マタタビ】19.最深部
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