魔法検閲・屁5 風聞の令嬢編
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魔法検閲・屁5(風聞の令嬢篇)
貴族の娘であるボクの裏の顔は、王都一の情報屋。
社交界の付き合いやらアカデミーの最新の研究やら、はたまた裏路地のおじさんまで情報網は随一。
今日も面白いネタを拾ってきたのさ。
曰く──「ご神体に、乙女の屁を吹きかけると、古の剣が蘇る」んだって!
ははっ、バカみたいだろ? でも姫騎士と勇者サマ、マジメに聞いちゃってさ。
「乙女の風こそ聖なる力」だの「香気は神意の証」だの、
まるで詩でも読んでるみたいに顔を赤らめてんの。
ほんと、戦うより恋してる方が似合うんじゃないの?
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ボク自身もね、ダンジョンに潜ることがある。でもボクの魔法なんてほぼ徒手空拳と同じ。
荒くれどもに囲まれて、乙女のピンチ──なんてことも。
でもだいたい「秘技・竜殺香」で乗り切るんだ。
ブウッてやったら、みんな勝手に倒れてくれる。
笑っちゃうよね。男って、みんなおマタをのぞき込んでくるから百発百中。
日に何度もは使えないけど、使いどころを間違えなければイケる。
あ、ちなみにボク、男の娘で〜すって言えばだいたい話は収まる。
便利な世の中になったもんだね。
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で、調べてみたら、こういう屁の魔法、けっこう各地に伝わってるらしい。
竜殺香も、聖剣や聖器の伝承もそう。
なかには火の鳥ならぬ「屁の鳥」って伝説まであるんだとか。
いったい何だって言うんだ、この国は。
……でもまあ、悪くないよね。
誰かが風を吹かせて、世界がちょっと笑えるなら。
それもひとつの、魔法ってやつさ。
続く
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オマケ
「秘技・竜殺香」について
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呪文
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