立ち上がりて、前へと進め!
純粋に鉄製品は重い。それだけで隊列の進みは遅くなる。歩みが遅くなれば当然このような商隊などは野盗・山賊どもの格好の餌食だ。
そうでなくても他の二か国からの妨害を覚悟しなければならない。往路でさえ寿命の縮む思いをしてきたのだ。帰りの陸路にせよ、海路にせよ、それ以上の障害が待ち受けている。
ましてや本国より離れたこの地で、遠くから砂煙を上げて向かってくる騎馬隊を味方の出迎えだと思うような呑気な輩は、この商隊にはいなかった。
「ならば『自分の身』は『自分』に守らせれば良かろう?」
護衛を引き受けているダークエルフが、商隊の荷車を指さしたと思った束の間、荷を抑えていたロープが弾け、黒々とした『ソレ』が立ち上がった。
「立ち上がりて、前へと進め! そして我らの敵を討て!」
赤毛のダークエルフが、猛獣を躾ける鞭のように鋭く命を下す。鉄塊の巨人は声なき声を震わせ、地を鳴らして歩み出した。
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「――で、持ち帰るはずだった鉄製の武器防具が中古品になった、と」
「名誉の傷だと褒めてやってくれよ。商隊に被害は出なかったんだからさ」
呪文
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