方舟計画 ~新興教団の企図~
開祖であるデニスフィールド師の姓をそのままとって「デニスフィールド教団」と名乗るこの集団は、師の天啓のもと、この世界に初めて降り立った「始祖神」の再臨の準備をするべく日々活動をしていた。表向きは、師の「嫁」であるところの二人の女、エルフェアル出身の娘・エルフィとグランゼン出身の娘・フランが営むささやかな織物商であったが、裏ではある計画のために合法非合法問わずあらゆる取引や仕事をしては金を稼ぎ、布教活動を行っていた。
デニスフィールド師は商店の奥まったところにある部屋で天啓を記す業務に没頭していた。しかし書かれた教典や彼の激情的な言動はただでさえ難しい上に、さらに謎の図式や数式などが頻出したりして、一層難解を極めた。「デニスフィールド教団」の数少ない信者たちは、神に救われるために信仰しているというよりは、師が語る夢物語の神秘性に惹かれて集まっているようにも思えた。
そしてサラトバの世界がきな臭くなってきたある日のこと、師は「嫁」二人と信者を集めると、口角唾を飛ばしながらある計画をまくし立てる。
それは、サラトバの中央に位置する湖に方舟を建設して、来るべき「神」の再臨の日に備えてそこを一大都市を建設しようというものだった。方舟の建造計画の詳細などについては、師の難解な弁のせいで誰もわからず仕舞いであったが、とにかくそれだけの大計画を実行に移すためにはさらなる資金が必要なことだけは誰もが理解できた。
険しい表情で難解な熱弁を振るう師を、いやな顔ひとつせずに聞き入る「嫁」のエルフィとフラン。
しかし師より遥かに年の若い、見目麗しい美貌の二人がなぜ年老いた師に付き従っているのか? 難解な教典や方舟の計画を差し置いて、教団の中ではそれが一番の関心事であった。中には陰で「嫁」二人と師の夜の営みについてあれこれ類推するものや、他の男と夜伽をして高額を稼いでいるのではないかと不埒なことを噂する者もいた。
さらに不埒な噂として、師は新たにウェスティリアやレスランドの娘を「嫁」として迎えようと画策しているというものがあった。
――しかしいずれの噂も確たるものはない。だがそれらの噂は、この新興の教団の神秘性をより一層高めていた。
果たして、教団は方舟を建設して企みを完遂することができるのであろうか……?
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……なんてストーリーを作ってみました。
*イラストは出力したものを加工しています。
*運営の方へ:2枚めの動画にて、サラトバの地図を一部抜粋して使わせてもらいました。問題ありましたらご連絡ください。差し替えします。
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