『魔女王』即位、そして……
リアラは母に代わり、新しい女王に即位した。源人と魔人の血を引く『魔女王』として。
これからは魔族とも共存していかなければならないし、それはいい事なんだが……。
「本気か? 即位式の後すぐに結婚式を始めるってのは。しかもこんな流れ者なんかと」
「当然です! 公務と仕事が山のように立てこんでるんですから、即位も結婚もできるうちにさっさと済ませちゃわないと。それにカイトが流れ者だろうと関係ありません。優秀な殿方なら出自や身分関係なく取り込むのが我が王家の習わしですから。魔王討伐を果たしたカイトならお母様も国民も文句は言わないはずです。それに……
……あの夜、私にあんなことやこんなことまでしておいて逃げられると思ってる?」
その指摘に、俺の口から「うっ」と呻きが漏れる。雰囲気にかられたとはいえ、一国の王女を抱いたのはさすがにまずかったか……しかし。
「実はだな……関係を持った事があるおなごは他にもいてな……中には子供ができた奴までいて、そいつらの面倒も見てやらなきゃならないんだが」
観念して白状するものの、リアラは憤慨するどころか……
「いいわよ、みんな連れて来なさい。『魔王』に側室や婚外子はつきものでしょう。パーティーの中にも何人か一緒に寝た子がいるみたいだし……。
それに私はこの国の民の母にして『魔王の妻』よ! あなたの他の恋人や血の繋がらない子供の十人や百人受け入れられないで『魔王の妻』も『国民の母』も務まりますか!」
そう言ってリアラ、いや『魔女王』は誇らしげに胸を張る。
そんな妻に俺は笑みを返した。
あの“自称宮廷魔道士見習い”が頼もしい“女王様”になったものだ。
異世界アイアス『魔剣士』編・完
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