Memorable years
いつも自分の若い頃の写真を見せちゃ昔話をしていたもんさ。
「これ見てくれよ。俺も昔はこんなんだったんだぜ。結構イケてるだろ?良くモデルなんかと間違われたなぁ。え?こんな所でタバコ吸っても良いのかって?昔はよ、その辺で普通に吸えたんだ。今は条例だ何だかんだでうるさいけどな。…。あの頃から半世紀も経つのか。そりゃ年も取るわなぁ…。」
何かと理由を付けちゃ人にたかってばかりいるロクでもないジイさんだったけどさ、チャーミングって言うの?不思議と憎めないんだよね。
周りからはむしろ愛されていたと思うな。
最近全然顔を見ないから、とうとう死んじまったかな?とか皆で冗談言ってたんだけどさ、本当に死んじまったって聞いた時にはビックリしたよ。
孤独死ってやつだな。
家賃の催促に行った大家が見つけたんだってさ。
身内とは色々有ったらしくて、何処からも遺骨の引き取りを拒否されたから無縁仏になっちまうんだって。
それもあんまりだよなって言うんで、店の常連連中でお別れ会でも開いて送ってやろうかって話になって。
お兄さんも良かったら来て花の一輪でも供えてやってよ。
…。
あばよジョニー。
アンタがいつも持ち歩いてた写真はオイラが形見に貰っておくよ。
それでそいつを見せながら皆に話すんだ。
昔この街にこんな男前が居たんだぜ、ってさ。
─純喫茶ヂュスティーヌにて.おぢさん談
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