【マタタビ】28.ニューナゴヤの守護者
【マタタビ】27.アノマリィ襲来
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シロとシルエラは、戦場となったニューナゴヤの街に立ち、アノマリィたちに向かっていった。シロはガントレットを巨大化させ、その鋭い爪でアノマリィたちを切り裂いていった。シロの動きは素早く、次々とアノマリィたちを倒していく。一方、シルエラは重い鉄球を振り回し、アノマリィたちを粉砕していった。シルエラの一撃は強力で、周囲のアノマリィたちを一瞬で破壊する。2人は息を合わせ、互いにサポートしながら戦い続けた。
街中では、居合わせた旅人や黄昏梟たちも、アノマリィと戦っていた。神格の制御を目論んでいた越夜隊たちも、神格を制御することは不可能だと悟ったのか、旅人や黄昏梟たちと協力し、生き残るために戦い始めた。
「これで終わり!」
シロのガントレットが周辺にいた最後のアノマリィを切り裂き、シルエラの鉄球がその残骸を粉砕した。戦場は静寂に包まれ、2人は勝利の余韻に浸った。
「やったね、シルエラ!」
「ええ。でも、本当の戦いはこれからです」
そう言ってシルエラは、上空を見上げる。視線の先には、星の樹のエネルギーが集まった巨大な球体がぶら下がっていた。やがてその球体に亀裂が入り、中から巨大な異形が現れた。
「あれが、本当の神格……。あんなのに勝てるのか?」
俺は、息を呑む。と、そのとき、後方のビルの屋上が一瞬輝き、光の筋が神格を貫いた。振り返るとそこには、メイドカフェ“ポームム”のメイド長であるラポームが立っていた。
「ラポームさん!」
シロが喜びの声を上げる。シルエラがスカートのポケットから通信機を取り出すと、ラポームの声が聞こえた。
「シロさん、シルエラさん、まだ戦えますか? 私が、サポートいたします!」
「私たちも戦っていますよ!」
通信機に、他のメイドたちの声も次々と届く。ラポームがシロに言う。
「シロさん。あなたは一人で戦っているのではありません。皆と一緒に戦っているのです!」
「はい!」
シロは、喜びを噛みしめ、力強く返事をした。
「皆さん、参りますよ!」
ラポームが気勢を上げると、ビルの屋上からメイドたちが飛び出した。メイドたちはそれぞれ巨大な武器を携え、一斉に神格に立ち向かっていく。
プラタノは、巨大なブーメランで真っ二つにし、
ウーヴァは、巨大な鎌で八つ裂きにし、
メローネは、巨大なチェーンソーで細切れにし、
ラポームは、巨大なスナイパーライフルで蜂の巣にし、
神格に次々と攻撃を仕掛ける。神格が巨大な腕を振り反撃してくるが、彼女たちは巧みにそれを避け、攻撃を繰り返す。
「この街を守るため、戦える者は前へ!」
ラポームの呼びかけに、その場にいた旅人や黄昏梟、越夜隊たちが応えた。彼らは、それぞれの武器を手に神格へと挑む。戦いは激しさを増し、街の至る所で爆発が起こり、街は戦闘の火花に照らされた。
「お嬢様」
戦火が上がる街の様子を見ていたシルエラは、隣にいるシロに語りかける。
「私たちバトラー型シンカロンは、終末事変により、お仕えしていたご主人様やお嬢様を失いました。ですが、生き残った者は、集まり、身を寄せ合い、そして新たな生きる目的を得ることができました。それは、誰に命令されたわけでもない、私たちの生きる目的——」
シロは、シルエラの横顔を見つめる。
「この街には、ポームムを訪れてくださった、新しいご主人様やお嬢様たちが沢山いらっしゃいます。だから私たちは、過去と決別し、戦うことを選びました」
俺の場所からはよく見えなかったが、シルエラの後ろ姿は、泣いているように見えた。
「私たちは、戦い、勝利し、未来を手に入れます! すべては——新しい主のために!」
かつて屋敷の守護者であった彼女たちは、今やニューナゴヤという街の守護者となっていた。
「お嬢様、行きますよ!」
シルエラは、神格に向かって走り出す。
「はい!」
シロは返事をし、シルエラの後ろ姿を追って走り出した。俺も、シロたちの戦いを最後まで見届けるために後を追った。
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(次の話)
【マタタビ】29.ギガント・ハンズ
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