白くま少女の終末譚②
私が起動したとき、もう人類は終わりの戦いに向けて、慌ただしく準備しているところでした。私を起動したのは白いラッコのミュータントでした。なんでも私がこのまま廃棄されてしまっては可愛そうだと思い、どさくさに紛れて起動したそうです。
このころ、何度か人と会話する機会がありましたが、みな追い詰められた表情で、ゆっくり話すことはできませんでした。いま思えば、もっともっと、お話ししておけば良かったと思います。
【2枚目】
戦いのあと、そこにあるのは廃墟だけでした。
白ラッコが言うには、私たちと違い、人類は今の大気組成では生きられないのだとか。
それでも何年かは、幾つかのシェルターに避難した人類と、通信で話すことがありました。
彼らはみな、外の状況や食料、燃料の補給について聞いてきましたが、私たちは何もしてあげられず、やがて通信は途絶えました。
呪文
入力なし