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この化け狐は、やさしすぎる

使用したAI Stable Diffusion XL
※ざっくり続き物で書いているストーリーの挿絵の感じで画像をつくってます。
 よろしければ前回はリンクからどうぞ。
 そして前回分、全年齢で大丈夫だと思ったらR-15移動になってました。。うーーん。。わからん~~。
(前回:墓地でお参りをして旅に出る)
https://www.chichi-pui.com/posts/687537f6-fc88-44e8-b6b4-9f8fcc0b67eb/



「待っておれ。それよりも腕から目を離すな」

わかっている。気丈に振る舞っているのではない。彼女は本当に何事もなく、戻ってくる。



呪い人形の片腕が赴くままという、一匹と一人と一本の、前代未聞の旅。

荷物持ちとして化け狐の供をしている。

旅に出てから2日。

腕は山を出て街道沿いを選んで(?)くれた為、途中の集落で休息をとりながら進むことができた。

集落の人に話を聞くと、以前おかしな気配の人影が歩いてくるのを若いのが目撃して、通り過ぎるまで家に籠ってじっとしていたということだった。

どうやら方向も間違っていないらしい。

そうして3日目に腕は街道を外れて山道に入り、すれ違う旅人も居なくなったところでそれらは現れた。

いわゆる、山賊。

お決まりの、身包み置いていけ、から始まり。次いで、命が惜しければその狐女を寄越せ。

狐は嘆息して言う。

「抵抗しても無駄なようだ。しかしここでは流石に…少し離れた所で良いか」

殊勝さに免じてそれくらい聞いてやろう、と頭目らしい男が嗤った。

何も知らない山賊達は彼女を取り囲むようにして連れていく。

実のところ、抵抗しても無駄なのは山賊達の方で、彼女の身体には触れるだけで発狂感染する呪いが渦巻いている。

つまり、何もせずとも奴らは程なく壊滅するのだ。

腐れ外道にはお似合いの最後と言える。

なのに、あの狐。

去り際にそんな顔をしないで欲しかった。

いつも通り泰然自若としていてくれれば私も一言二言軽口を返したのに、と。

遠ざかるまで山賊達はご機嫌で下卑たことを言っていたような気はするが、何も頭に入ってこなかった。



私はその場に座り込み、縮こまっていた。呪い人形の腕は箱をかぶせて進まないようにしてある。

なんだか遠くで男の狂ったような叫びや怒号が聞こえたが、やがて静かになった。



知った足音が徐々に大きくなり、顔をあげればほとんど衣服の乱れもない彼女がいた。

ご無事でしたか。役に立てず申し訳ありません。怪我はありませんか。

どれを言ったらいいかわからない。

自分も立ち上がったものの、何も言えずにいると彼女の方から口を開く。

「儂が恐ろしいか」

――それは、全く。

自分でも驚くほど鼻白んだ声が出た。

そしてそれがよほど狐の虚を突いたらしい。

――自分を慰み者にしようという同情の余地の無い外道に、貴女が何故涙を流したのかわかりませんでした。

ふい、と彼女の方から視線を外した。

この狐の本質はとても優しいのだ、と思う。

――いちかばちか逃げられれば良かったですが、あいにくまだ全力で走るのは厳しいでしょう。

「それは、そうだが」

――私だってあの人数相手に立ち回れません。だから半分は私のせいです。

「山賊に囲まれた時、一瞬、ちょうど良いと思ってしまったんだ。呪いのことを伝えて奴らを追い払うこともできたのにだ」

――それは無理でしょう。ハッタリだと笑われるだけで。

「呪いを感染させるとな。身体は楽になって心が落ち着く。酷い話だろ。事実さっきより調子が良い」

彼女がやったのは自分が正気を保って生きる為に必要なことで、しかも自分から無差別に人を襲ったわけでもない。

そして呪い自体、周囲に仇なす呪い憑きや怨霊を祓う代償として背負わされてしまったものだ。

彼女も頭の中ではわかっているのだろう。

それでも涙は出る。

そういう化け狐。

――ですがおかげで私はまた救ってもらいましたよ。

「簡単に命を救いあう縁なのかな、儂らは」

――お互い死ににくくなる縁とも言いますかね。

「行くか」

ぐしぐしと袖で顔を拭いながら歩き出した。後ろをついていく。

自分の今際の際にこの化け狐が居たなら、最期に私に触れて彼女には少し楽になってもらうのもいいな、と思った。




彼女は枯葉と書いて『こよう』と自称している化け狐。
本名を知っているのは百年以上前に親交があった古狐達と稲荷大神様だけです。

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#美しき涙 ジュベリアン様 + #ファンタジーズ あかさたな(避難用)様 ユーザ主催企画参加分です。
ここは前から書きたいと思ってた部分で、せっかくだから企画に合わせたくてちょっと前倒しでもってきました。
話のイメージに合う"笑ってるようなイラついてるような泣き顔"が出せてその点は満足です。
で、今回、露出度が通常より低いですが、これは普段やらない泣き顔に集中したくて"いい表情なのにおっぱい零れてしもた~( ノД`)シクシク…"的な没になるのが嫌だった為です。ご了承ください。
いつもの枯葉様はもっとたぷたぷしてます。


わたしはまじめなはなしをかいたはんどうでIQがげきげんしつつあります。えっちようそがたりぬあばばばばば。。


こちらの化け狐のシリーズは #廃神社のはぐれ狐 タグで纏めています。
よろしければ以下のリンクからどうぞ。
https://www.chichi-pui.com/illustration/posts/tags/廃神社のはぐれ狐/

呪文

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jacket partially removed, heart in eye, burnt clothes, holding fishing rod, kanji, doujin cover, pentagram, tape gag, adjusting headwear, red socks, friends, cloud print, coke-bottle glasses, oral invitation, competition school swimsuit, barbell piercing, gradient legwear, prisoner, blood on breasts, wind chime, carrying over shoulder, tape measure, flaming weapon

イラストの呪文(ネガティブプロンプト)

jacket partially removed, heart in eye, burnt clothes, holding fishing rod, kanji, doujin cover, pentagram, tape gag, adjusting headwear, red socks, friends, cloud print, coke-bottle glasses, oral invitation, competition school swimsuit, barbell piercing, gradient legwear, prisoner, blood on breasts, wind chime, carrying over shoulder, tape measure, flaming weapon
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