歯車少女:エピローグ
表向きには寝ていた時 お互いの修理のことで
口論にはなったが それ以外はなにも記憶がない
ただ自分はどうやら清潔なシーツがしいてあるベッドの上にいるらしい
そこまで認識したとき 部屋の扉が開いた音がした
クローエはまだ意識がはっきりしていなかったが
そこにいた黒髪の女性はクローエが起きていることを確認して
驚いたように立ち尽くした が すぐにはじかれたように駆け寄ると
後ろから抱きついて わんわんと泣きじゃくった
クローエは最初戸惑ったが その匂いや雰囲気は懐かしく思い出された
「はるか?はるかなの?」
うんうんと頷きながら はるかはしばらく泣き続けた
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ファゴスとの戦いの後 クローエは8年間眠り続けたのである
自分は1か月で再生を果たしたと自慢するトワに
「よせというのに、自分の再生に私の部品を使いまくったではないか!」
「早いとこ再生して偵察した方が良いと判断したんでな」
「それに」
「いくら何でも2年もあれば中の部品のほとんどを抜かれたとしても
お前ならさいせいできたはずだろう?なんで8年もかかったんだ」
クローエはだまって胸の蓋を開けた
「・・・こりゃあ・・・・」
「・・・きれい・・・」ため息をつくようにはるかがつぶやいた
「最後のパーツだ」
「そうか、それを生成するのに・・・」
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「さて、俺はこれから旅に出る」
「急だな 当てはあるのか?」
「思い立ったが吉日という諺が 東の島国にあることだしな
それに 目的地は今は特に無い こいつ次第さ」
そう言って翼を一振りした
「おまえはどうするんだ?」
「まだ決めていない」
「そうか まぁ目覚めたばかりだからな」
そういうと翼を一振りした
「トワちゃん!」
「はるかぁ!ちゃん付けはやめろと何度言えば・・・」
「お母さんに伝えることは?」
「そうさな・・・みちるにも お前たちにも特にはねぇが・・・」
「クローエ、はるか、短いような長いような付き合いだったが
楽しかったぜ? 達者でな!」
「おまえもな!」クローエがそういったときには、トワはすでに空高く飛び上がっていた
トワは二人の頭上を2回旋回すると西の空に向かい飛んでいった
はるかはトワがもう見えなくなるまで ずっと手を振っていた
(完)
呪文
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