本日も異常なし
「皆さん、本日も警護任務ありがとうございました!」
服部先輩は、警護員たちに深々と頭を下げた。
「私は営業しかできません。 でも皆さんがいるから、安心して外へ出られます!」
元自衛官の男たちは、少し困った顔で目を逸らす。
ここの警備員は、元警察や元自衛官の早期退職者又は50歳定年(自衛官の尉官未満)の再雇用者ばかりだ。
体力に自信はあっても、事務等には向かない者ばかりを服部先輩経営の警備会社は積極的に採用する。
警備といっても道路工事やビル管理警備ではない。
有名私立学校の校内警備は元自衛官を望むし、ストーカー対策の身辺警備等も男女ともに地味にある。
今のストーカーは、スタンガンどころか刃物まで持つことが多いのだ。
別件として要人警備のSPは絶対的に足りないから、そんな警備の補助業務も来る。
何と言っても、元自衛官だ。下手な若手のSPなんかより、余程頼りになると隠れた評価がある。
哀しいことに元自衛官というのは、感謝されることに慣れていないのだ。
昔よりは遥かに良くなったが、50代の元曹長クラスの者にとってはプロ市民団体に罵声を浴びる方が多かったのだ。
「・・・隊長殿」
「なんだ・・・」
「再雇用、悪くないですね。」
「ああ。俺らは良い人に拾われた・・・」
夕暮れの車列の中、男たちは静かに笑った。
呪文
入力なし