一席ぶとうかしら? この私が、情報強者と情弱の違いを教えてあげるわ!
↓
『女体化妄想リアルブート:図書館の魔女:宮代拓留』
宮代拓留「うふふ。 これがクールキャットプレスの創刊号なのね……。
超レアものよ……。 ついに私の図書館に入荷したのね……。
ふふふ。私はまた新たな情報を得て、賢くなってしまったみたいね(感動)。
情報強者たる私は、常に読書を欠かさない。
そう、読書により長年積み重ねられた知識は私を魔女へと成長させたの。
今や私の存在そのものが大図書館と言っても過言ではないわ。」
すまし顔で優雅に紅茶をすする図書館の魔女。
もちろん、飲んでいるのはレモン汁の代わりにマウンテンビューを2,3滴垂らした、魔女特製の紅茶(マウンテンビューティ)だった。
知的なクールビューティのための知的飲料であるマウンテンビューティは、大量に入っているカフェインと糖分により、脳を活性化させる。
活性化させた脳に入れるのはもちろん、クールキャットプレスの、南方先生の金言だった。
宮代拓留「この間の『男を惑わす小悪魔魔女の恋愛テクニック』は実に素晴らしかったわ。
やっぱり、魔女たるもの、妖艶かつ小悪魔的でなくてはならないわね♡
今時、簡単に男の子の言いなりになるようなちょろい女なんて、流行らないわ。
男をたぶらかして手玉に取るくらいのファムファタールじゃないと駄目よ♡
そもそも、この情報強者の図書館の魔女たる、知的美女の私なのよ?
そこらの知性の無い馬鹿な情弱男どもと釣り合うと思って?
ご主人様と奴隷の関係ならともかく、ね?
あはははははっ!」
などと、勝ち誇り、少女は高笑いをしながら読書を続けるのであった。
いつか、この世の森羅万象全てを知る事を夢見て、クールキャットプレスを読み漁るのであった。
自分が、幻想の図書館という牢獄の中に囚われている事に、気づきもしないで。
せりか「タク! 目を醒まして!」
のの「拓留、このままじゃ、あなたは死んでしまうわ!」
ありむら「そもそも、何でこいつ、女装してドヤ顔で小悪魔気取ってるんすかね? きんもー☆」
どこかから聞こえる声。 彼女に対して呼びかける、かけがえのない人たちの声。
悲痛な声。 泣き叫ぶような声。 それは、まるで世界が引き裂かれる断末魔のような声。
の後に、約一名の冷めた目での野暮なツッコミ。
彼女は、それらの声に全く気づきもしないで、また別の号のクールキャットプレスのページをめくり始めるのであった。
彼女はまだ気づかない。
図書館の本(クールキャットプレス)には、何一つ自分が今置かれた危機的状況から脱出する方法が、載っていない事に。
いや、そもそも自分が危機の中にある事すら、気が付いていない。
それどころか、自分の置かれた奇妙な状況に対して、疑問すら思い浮かべていない。
だから、脱走しようという発想すらないのだ。
そもそも、自分が何故女の子になって、図書館の魔女をやっているのか?
そもそも、自分をここに閉じ込めた相手が誰なのか?
世界の前提を疑わない彼女にとっては、図書館の本に書かれた文章だけが、彼女の世界の真実。
井の中の蛙大海を知らず。
そう、まずは、置かれた状況や前提条件に疑問を抱かない限りは、いくら本の知識で情報強者への道を極めたところで、妄想の図書館の中で、ずっと囚われのプリンセスを続ける事しかできないのである。
でも、彼女はとても幸せだった。
何も知らない、井の中の蛙は幸せだった。
図書館の中の情報強者の魔女は幸せだった。
だって、外の世界で、現実の世界で、どれだけ悲しい事が起きても、人が死んでも彼女には全く関係ないんだもの。
それに、わざわざ現実の事件の真実なんて知らなくても、どうでも良かった。
何故なら、ここにいる間、彼女の心は生まれて初めて感じるような、甘くとろけるような多幸感によって、ずっと満たされ続けていたのだから。
それは、彼女の元来の自己肯定感の低さ、そして中二病気質にも由来していた。
「図書館の魔女」は人ならざる存在にして、人類の上位種であり、読書家で、情報強者の極み。
彼女の自己肯定感や承認欲求は全て、自分が「図書館の魔女」であるとこの世界に定義されている時点で、全て叶えられていた。
そう、くだらない情弱のクラスの連中なんかとは、自分はレベルが違う人間なのだ。
洗面所の鏡に、自らの美しくて知的なクールビューティな姿が映るたびに、その恍惚の中で、自らの価値が再確認される。
さらさらと柔らかで繊細なロングヘア、絹の様に透き通った色白の美肌。
そして、自らの知的さを引き出してくれる、清楚で美しいドレス。
拓留「まあ、なんて美しいのかしら?
これが、情報強者の美しさという奴なのね♡」
何よりも、眼鏡の奥に隠された怜悧な瞳。
拓留「美しい……♡
ふふふ当然よ。 だって私は全知全能たる魔女よ?
そんじょそこらの情報弱者どもとは、頭脳もルックスも、魂からして格が違うんだからっ♡
例えるならばそう、貴族の娘と平民くらいの身分の差があるの!
知的で頭脳明晰な情報強者としての私。 クールビューティな知的美女の私♡
そんな私から見れば、この世の情弱男どもなんて、ハエや蛆虫と何が違うの?
そう! 私は選ばれし存在! 知的でクールな図書館の魔女なのよ♡
その知性や品格が外見にもにじみ出た結果ね、 私はこうして絶世の知的美女としての私を手に入れたの。
あははははは!」
彼女は、自らが求める物を全て手に入れて、完全に満たされていた。
だから、もう本当の真実を知る必要なんて彼女にはないのである。
こうして、本当の真実など何も知らないまま、少女は「図書館の魔女」として情報強者気取りを続けるのであった。
Library Skyエンド、完。
画面が暗転して、赤っぽい背景の中、いつものエンディングテーマの歌が流れる。
エンディングの歌が終った後で、真っ暗な画面の中で、世莉架のボイスが一言だけ。
世莉架「きゃはは♪ どう、拓? 楽しかった?
どう? 妄想の世界での女体化変身。 きっと痺れるくらいに素敵な経験だったんじゃないかな?
それも、元の世界の、辛くて悲しい殺人事件の起きた世界に戻るのを、忘れるくらいに。
いくら、伊藤に結衣ちゃんを殺されたのがつらかったからって、ここまでメンタルぶっ飛ばなくてもいいのにねえ。
現実逃避もここまで来ると、面白すぎるよね?
それにしても、まさか拓に、こんな願望があるなんてねぇ。
『クールな知的美女に変身して、醜い情報弱者の男ども、早い話が伊藤を含むクラスの男子たち全員を、見下して弄んで嘲笑いたい』って願望が。
陰キャ男のコンプレックスの裏返しって、本当に物凄いよね♪
でも、そういうところを含めて、大好きだよ、タク♪」
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