麦酒に感謝する衣装
廃神社に一匹で棲みついている化け狐。
ある日、私は山で呪い憑きに襲われ、彼女に助けられたことから礼として神社へ参拝して酒や食料、衣料品を奉納するようになった。
とはいえ、既に何度も奉納をしていて礼は充分に返し終えており、もはや今となっては参拝と奉納と言う建前で定期的に様子を見に行くことを続けている。
正直、当初はほっとくとそのまま衰弱していきそうだった化け狐が気掛かりだったのだが、最近はその気配も薄れてきたのでもうただの習慣に近い。
奉納され続けている化け狐も、くれるなら貰うがこちらから頼んだ覚えは無い、という態度なので私としても気が楽だ。
そんな訳でこの日は酒屋で珍しい品だとすすめられた黄金色の麦酒を手に入れ、さらに洋品店では偶然その麦酒に合う舶来の衣服があると言われて購入した。
恐らく酒屋と洋品店が裏で通じていたのだとは思うが、まあいい。
――麦酒への感謝の意を込めた衣服で、飲むときに着ると良いそうですよ。
聞きかじった内容でざっくり説明すれば
「ふむ、そうか。酒には感謝せねばな。それにこういうゆったりした生地の服は嫌いではない」
何の躊躇もなく大柄な女性向けのその衣服に着替えて早速麦酒を飲み始める。
「泡が面白い。酒らしさも弱いから流し込むように飲めるのも良い」
気に入ってくれたようで何より。
台に腰掛けたり足を投げ出したりするのは感謝と程遠い所作に見えるが、彼女なりに酒に真剣に向き合って他のことがおろそかになってしまうのだろう、と良い方に解釈することにした。
彼女は枯葉と書いて『こよう』と自称している化け狐。
本名を知っているのは百年以上前に親交があった古狐達と稲荷大神様だけです。
彼女は長い年月、呪い憑きや怨霊の類を祓い消滅させてきた反動で呪いに全身を蝕まれているので彼女に迂闊に触った生物はやばいことになります。
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#民族衣装 ノロマ亀太郎様ユーザ主催企画参加分です。
オクトーバーフェストでドイツがビールの衣装ですね。(いい加減)
"dark green dirndl dress with multilayered pelvic curtain,Oktoberfest Atmosphere"にしたら枯葉様の衣服っぽさを維持しつつディアンドルを融合できました。
いつものpelvic curtainだけだと着物感の強さと鼠径部が全年齢危うい感じだったのが、multilayeredで重ねにしたことで健全なスカートらしさも足せたっぽい。
気紛れでいろいろ試してみるもんですね。
あとこちらの #廃神社のはぐれ狐 はシリーズを通してカタカナ、英語を使わないで文章書いてるのでなんとなく通じるように麦酒という言い方にしてますが、実際最初にビールが日本に入ってきたときはどういう呼称だったんですかね?
最初からビールだったのか、むぎしゅとか言ってたのか。
こちらの化け狐のシリーズは #廃神社のはぐれ狐 タグで纏めています。
よろしければ以下のリンクからどうぞ。
https://www.chichi-pui.com/illustration/posts/tags/廃神社のはぐれ狐/
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