この映画、古典の教科書に載ってたのとは随分印象違うね……。帰ったら感想会だね…
タイトルの『御前と呼ばれた女』とは10星期ほど前の「ヒュームの反乱」でヒト族と最後まで道を同じくした狐女のサムライ、レフィ皇女を指しており、映画は彼女の波乱万丈の一生を描いたものだった。
古典の教科書では「ヒュームの夫と轡を並べて最後の突撃を行う寸前にひとり落ち延びるよう命じられた彼女が涙ながらにそれを受け入れる」という部分が古めかしい言葉で書かれていて、彼女たちには女武者の心理まではたどりつけなかったようだった。
しかし映画では、「他種族排除」を旗印とした人族の首領に惹かれ、そして同族からは憎まれ蔑まれつつも「夫」と添い遂げる「恋ぐるひ」として彼女が描かれていたのだった。
「はー。なんだか分かったようなわからないような映画だった……」銀髪のテヤンが重い溜息をついた。
「いやいや、思い込んだら最後まで突っ走っただけの話しだぜ。潔いというか女傑というか……でも納得させられちゃったんだよなぁ」宣伝動画でさんざん流れていた数百の騎馬武者同士が激突する合戦シーン目当てだった金髪のニアも熱に冒されたような口調だった。
「彼女の夫を殺したのは彼女の一途さって気がしてきた…」アカネがぽつんと言った。「あの恋を成就させるためにはふたりともあの戦いで散るしかないわけで……もやもやするぅ」
「というわけで」テヤンが彼女たちの婚約者に微笑んだ。「お家で感想会するから、キミも参加するように、ヒュームの男の子としてどう思ったのかじっくり聞かせてもらうから。ね?」
イメージしたのは巴御前の最後のくだりです。
彼女、本当に落ち延びたんですかね…。
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