GPU学園メモリ部
学園内の全てのデータが集まり、一時的に蓄えられる空間。
ある日の放課後、いつもの二人だけのガールズトーク中に部活の話題が出た事もあって、あずさはちちぷいちゃんをメモリ部部室に案内していた。
「ここが部室・・・?」
部屋の中には大きなコンソールが置いてある以外何もなかった。
「そうだよ。今から言う通りにコンソールを操作してね」
あずさの指示通りに操作すると、ちちぷいちゃんは驚く声をあげながら姿を消した。あずさも操作して消える。
一瞬意識が遠のく感覚がしたが、すぐに回復。恐る恐る目を開けてみると・・・
「 ここは・・・海?」
強く閉じた目を開くと、ちちぷいちゃんの目の前には青い空と海が広がっている。
「驚いたでしょ? ここがGPU学園の全てのデータが一時的に集まる【VRAM】と呼ばれるメモリの内部。今見ているこの景色はメモリ空間を季節に合わせて擬似的に再現したものなんだっ。この海水がデータ。空は現在のメモリ内部の状態を表してるの。最初は小さな池みたいな空間だったのが技術の進歩によって海へと発展したんだって。凄いよねぇ」
後からやって来たあずさの説明に驚きと戸惑いを隠せないちちぷいちゃん。
「メモリ部の役割は、このメモリ空間内の状態確認とバグの発生や不正データが混入してこないかをチェックするの。海岸の清掃作業をする感じかなっ。一応ご褒美もあるよ。この時期は見ての通り海だから泳げたりするし、冬は雪遊びが出来るんだ」
へぇ、と感心しきりのちちぷいちゃん。
「わっ、何か不思議な生き物が私のところに! あずさ、これ何?!」
「ああ、それはバグ取り用プログラムのアバターだね。初めて来た人をチェックしに来たのかもね」
「大丈夫・・・なの?」
「可愛い姿になったままだから大丈夫だよ。ダメだと怖い姿に変わるから」
恐る恐る触れてみるちちぷいちゃん。ぷるぷるしたり、くるくる回ったりする。気に入られたらしい。
「さてと、チェックも終わったしー・・・じゃあ泳ごうよっ」
「え、泳ぐって水着はどうするの?」
「ここはメモリ空間だよ? 水着のデータだってあるからね。ああ、このプロンプトを拝借っと」
二人のセーラー服が消え、スクール水着姿へと変化する。
「ええええぇぇぇ、何でスク水!」
「今、画像生成AI部の利用者がスク水データを利用して生成してるんじゃないかな? ぶっぶーな利用が酷いなら先生とかに通報もしなきゃだけどねー」
「ぶっぶーな使い方、ねぇ?」
「・・・使用状況はぶっぶー手前か。うん、大丈夫そうだし、泳ごうよ!」
「はいはい、データの海を泳ぐとか凄い体験よねー」
泳いだり海岸で砂遊びをして楽しむあずさとちちぷいちゃん。
「はー、泳いだねー」
「流石に疲れたわ。・・・ねぇ、あずさ。ちょっとそこ座ってほしいの」
「うん? ・・・えっと、これでいい?」
座るあずさの間に収まるようにちちぷいちゃんが座る。
「ちょっ、ちちぷいちゃん?!」
「ああ、えっとね、ちょうどいい感じだから今言っておくけど・・・友達になってくれてありがとね。一緒に話をしたり遊んだりできて楽しかった!」
「生まれて初めて告られたのかな? 照れるねぇ。でもそう言ってもらえて嬉しいっ」
「まぁ、そういう事だから、これからもよろしくね!」
「こちらこそだよっ」
こうして友情を深め合った二人はメモリ空間を後にするのだった。
呪文
入力なし