神を望む者 -One who seeks God-
何が残されているのでしょうか…」
喧騒は静まり、吹き抜ける風や雨音
獣や羽虫の鳴き声が今の世を統べる。
時期に崩壊する摩天楼と
名残惜しい歴史の痕跡だけを残し、
我々の文明は滅亡した。
「あなた方が所望した景色は、
本当にこの様な結末だったのでしょうか?」
祭壇の前に跪き、彼は手を合わせた。
「人々は救済を求め、
最後まであなた方を信じ、祈り願っていました…。
しかし、それは叶わずに
人類の大半は亡くなっていったのです。
…敬虔なる人々を何故、見捨てたのですか?」
彼は静かに立ち上がると、空を仰いだ。
「どうすれば…何を成し遂げれば…
あなた方は降臨して下さるのですか…」
そう嘆く彼の陰で、
彼が葬った何億もの怨念が蠢いていた。
呪文
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