2025年(福岡歴225年) 桜豊湖葵生誕祭!(何
とうとう、ウチ、16歳の誕生日を迎えたっちゃ♪
「ふんふ〜〜ん♪」
身支度しながら、つい鼻歌がこぼれてしまう。
だって今日は、ラーヴィにぃにと一日誕生日デートなんやもん♪
えっへへ〜♪ オシャレ、ちゃんと気合い入れとかなね♡ にひっ♪
メイクも……「あんまりしなくていい」って言うけど、 ウチはしたいんよ〜。ん〜、似合っとるかなぁ?
アイライナーもナチュラルに仕上げたし、悪くないと思うっちゃけど……どうやろ?
ん〜? 悪くない、よね? んふふ♪ 睫毛も軽くブロウして……よし☆ できた♪
さて衣装やけど、今日の本命コーデはこっち!
インナーは、手編みの白いタートルネックセーター♪
ボトムは、お気に入りの水色のプリーツロングスカート。流水みたいに流れるように見えて好き♪
寒いやろうき、チャコールグレーのタイツも履いとこ♪
アウターはホワイトパールカラーのロングコートを羽織って――
どうかな? 似合っとるかな? にぃにの感想、楽しみっちゃ♡
それじゃあ、桜豊湖葵、出撃バイ☆
* * * *
部屋を出てリビングに向かうと、ちょうど月美お姉ちゃんと椿咲、ミントが朝ごはんの準備をしていた。
んっふ〜♪ いい香り〜!
でも、朝ごはんはにぃにと食べる予定やけん、ここは我慢っ!
「おはよ〜♪ 葵。バッチリ決まってるじゃん♪」
「可愛いですわ〜! オシャレですし、素敵です♪ 葵♪」
「気合い入れてるわねぇ〜♪ 羨ましいわぁ。でも――」
3人が顔を見合わせたかと思ったら、いつの間にか手にクラッカーを持ってて――
「「「誕生日おめでとう〜〜〜♪ 葵♡」」」
パァ〜〜〜ンッ♪ 勢いよくクラッカーが鳴って、紙吹雪がリビング中に舞い散った。
「うきゃっ♪ ありがと〜〜〜〜〜♪ みんな〜っ♪」
こうやって、家族に祝ってもらえるなんて……ウチ、ほんとに幸せ者やね。
それに――
「今日はラーヴィとお誕生日デートでしょ? どこ行くの〜?」
お姉ちゃんが聞いてきた。ウチは今日の予定を思い返しながら――
「んとね、まずは大宰府に寄って、お母さんとお父さんのお墓参りのお供え買うとよ♪ お墓参り終えた後は、にぃににお任せ♪」
「素敵ですわね♪ 来年のわたくしの誕生日には、わたくしもラーヴィ様と2人きりのデート、所望しようかしら?」
「私もしたいわぁ……みんなと一緒もいいけど、誕生日デートはやっぱり! 2人きりがいいわよね〜♪」
うん、それはウチも同意♪ 特別な日くらいは……2人きりが、やっぱりいいんよね。
そう、話すと長くなるんやけど、ウチたちは彼と付き合っている。
ここには居ないけれど、大宰府の幻刃を入れると……5人になる。
今までいろんな試練があった。命を懸けて国を守った。九州を脅かす、大邪神とも戦った。
もはやウチたち5人の女子は、命の底から絆が繋がっていた。
そして、ラーヴィにぃにを真剣に愛してる。
だからこそ、誰かが欠けてしまうのは、全員が納得できない……そこで――!
皆でにぃにを『夫として共有』している。これが、ウチたちの決め事なん。
けど……今日は、ウチの番やけんね♡
「ごめんね、みんな。今日はにぃに借りるけん♪ それじゃ、行ってきま〜す♡」
「「「いってらっしゃ〜い♪ 楽しんでね〜♪」」」
みんなの見送りを受けて、ウチは待ち合わせ場所へ向かった。
今日は、きっと――今年でいちばん、最高の日になるっちゃ♪
* * * *
お城のエントランスに向かうと――あっ♡ にぃに!
今日は執事服じゃなくて、私服でってお願いしとったんやけど……!
インナーはチャコールグレーのタートルネックニットに、アウターはグレーのロングコート。黒のスラックスに、磨かれた黒の革靴(魔獣の皮製)――ビシッと決まっとる!
……はわわ♡ 完璧すぎるやん!
「おはよう、葵。今日はよろしく」
にっこり笑ってくれたけど、ちょっと照れた感じもあって……
にぃにも、ウチのこと意識してくれとるんかな? やばばっ! 嬉しすぎて、心臓がバクンバクン鳴る! 体がぽかぽかしてきた!
まだや! 落ち着け、ウチ! 桜豊湖葵、平常心ばい!
バレんように、そっと深呼吸して――
「おっはよ〜♪ にぃに。ウチこそ♪ デートできてうれしいっちゃ♡」
「ならよかった。ちょっと早いけど……誕生日おめでとう、葵」
「えへへ♪ ありがと〜♪」
うん、もうこの時点でウチの人生に一片の悔いもないって気分やけど――でも、今日はまだ始まったばっかりやん♪
ウチはにぃにの腕にぎゅっと抱きついて――
「えと、今日は……恋人同士のデート、やきね?」
「う……うん、わかってる。それじゃ、まずは大宰府にお供え物を買いに行こう」
「おっけ〜☆ えへへ♪ それじゃ、車お願いしま〜す♪」
にぃにと一日、誕生日デート♡ 今日は、ウチの人生でいちばん楽しい日になる予感しかせんっちゃ♪
ふと、にぃにがウチの姿を見て、ちょっとだけ顔を赤らめて――
「……すごく、似合ってる。可愛いよ、葵」
照れながら、ぽつりとつぶやいた。
はいっ! もう、楽しいしかない確定!
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