小説『残暑にはウォタガンだ』【ニャンノ世界】
『残暑にはウォタガンだ』
暑い夏、ともすると
9月なのに
夏だというのは…
黎環時代における人類が
終末時計を気にせず
好き勝手やっていたことが
原因であり、
終末事変における
急激な温度変化にともなう
海面上昇へと繋がり
大陸の何割かは、海に沈んだ。
想像力を働かせることが
人類が人類たらしめる
在り方であり、
その人類たらしめる
在り方や存在意義を
見失えば
終末事変が起こるのだと
実感した生きとし生けるもの
たちは…終末事変後の暗黒時代を
乗り越え晴天アポカリプスにおいては、芯夜境戒が引き起こした黙示による破滅に抗ったことで、
現在は終天ユグドラシルへと向かい
破滅の危機は逃れつつも
しかして、着実に
終末の時へと向かわんと
芯夜境戒の侵攻活動は
著しく、アミガルズおよび
芯夜に抗う組織群は、
ウォタガン大会を通じて
戦力の増強および、
次世代の対抗勢力を育成する
動きが見られるのであった。
サガニャにあるホルスタイン学園もまた、教育機関であると同時に、終末事変で失われた環境の復興を主とし、研究や人材育成が行われている。
ウォタガンバトルの中にも
訓練要素はあることを
ミルンは知りつつも、
それが、来るべき戦いにおいて重要だということを認識しつつ、
知将のごとき表情で
アイスを食べながら、
ねこ、と鍋島姉妹の
戦闘訓練を見つめる。
観察、実践、考察
このサイクルが
戦闘的実力はなくとも
ミルンには構築する才が
あったため、将来は
アミガルズにて司令部もしくは
研究部に所属して、
ホルスタイン学園で培った経験を活かしたいと考えていた。
しかして、鍋島姉妹は
ミルンの進路に対して、
否定はしないが肯定もしなかった。
というのも、アミガルズは
芯夜境戒に反抗作戦を展開し
復興を目指すことを目的とした
組織といえど、戦いすなわち
軍事、戦争を手段として変革しようとしている。
もし、アミガルズが芯夜境戒を倒し、黙示を防げたとして、その明日に平和はあるだろうか…
生きとし生ける者達が
喧嘩することもあるというのに
世界の明日は、果たして
手と手を繋いで
微笑みあうことができるのだろうか?
鍋島磨希と鍋島真寿は
ミルンには平穏無事に
生きてほしいと願っている。
だからこそ鍋島姉妹は、
ネコニャリ時代に存在せし
平穏を脅かす厄災や混沌を
祓えるように日々、鍛練を
積んでいた。
しかして、一方、
ねこ、の方はというと、
「数学ヤクザばんちょー!になれるように頑張るニャ!」
と、猫耳なれど、
ねこの如く自由奔放に
今日も今日とて
目一杯、ウォタガンを
撃ちまくっていた。
以前のミルンや磨希、真寿は
物事を真剣に考えていたが、
ねこ、のおかげで、
昨日よりも前へ進めるように
考えることができるようになったのである。
明日、明後日が黙示録のごとく
混沌に溢れていても、
ねこ、の気ままな考え方に
今日という日々を
生きようと考えれるのだ。
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