スプーン競走
「次の競技は――スプーン競走です!」
銀色のスプーンに、まるで小さな太陽のように光るキンタマを乗せて、黄ぽにちゃんがトラックに立ちました。
観客席からは「がんばれー!」と声援が飛び交い、仲間の青ぽに、赤ぽに、黒ぽに、白ぽにも、それぞれの応援の仕方で見守っています。
黄ぽにちゃんはにっこり笑い、深呼吸をひとつ。
「バランスは私の得意分野だよ! 落とさなければ勝てるんだから!」
スタートの合図が響くと同時に、彼女は軽やかに走り出しました。
スプーンの上のキンタマは、不思議な力を宿しているかのようにわずかに輝き、転がりそうで転がらない。
それでも一瞬の油断が命取り――観客も仲間たちも、息をのんで見守ります。
黄ぽにちゃんは、地面をしっかりと蹴りながらも、身体の重心を絶妙に調整し、安定したリズムを刻みました。
風に揺れるポニーテールは太陽の光を受けて黄金色に輝き、まるで「豊かさ」そのものが駆けているよう。
――そしてゴールテープが目前に迫ったその時。
「最後まで気を抜かない!」
黄ぽにちゃんはぐっと腕を伸ばし、球を落とさず、見事に駆け抜けたのです。
観客席からは大きな歓声。仲間たちも駆け寄り、口々に称賛の言葉をかけました。
黄ぽにちゃんは少し照れたように笑いながらも、誇らしげに胸を張りました。
「やっぱり、私には“バランス”が一番似合うでしょ?」
その笑顔は、収穫の秋を象徴する女神のように、明るく、あたたかく輝いていました。
呪文
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