小説『なぜ、兎といえば月なのですか?』【ニャンノ世界】
『なぜ、兎といえば月なのですか?』
ルナウサが地球からやって来た
ウサギに尋ねられた。
「なぜ、兎といえば月なのですか?」
と、しかし、聞かれたルナウサも
自身のことはよーく分かってないのであるわけで…
「THE・UNKNOWN」
と、世界共通言語で答え
属性を示すとなる不明だそうだ
しかして、分かるのは…
「古来より月と兎は神話的な関係性の中で構築されたのやもしれぬ」
と、ルナウサは地球の兎に答えた。なぜなら、Kaguyaも宇宙兎族に属してるからだ。
「では、質問を変えましょう、地球の兎はなぜ、地球にとどまったのか、あの、薄汚れた世界に、業の深く、自らが生きる場所を自らで終わらせてしまった黒き歴史のある場所で…」
地球に暮らす開発者ボブは…
この問いに答えねばならなかった。
「なぜ、地球に暮らしているのか…思えば、地球という重力に縛られているのか…」
2page
「我々、兎族に星は選べない、いや、生まれる場所すら、高次元的な話になるかもしれないが、何らかの意志の介在はあるのだろう…」
開発者ボブは言葉を続ける
「あれは?太陽系の先かい?」
宇宙の深淵たる世界が指を指す方向へ広がっていた。
銀河系、何万たる星雲なる煌めき、
「地球に生き、未知であるからこそ美しいと感じるのだろうが、我々、宇宙兎には、分からぬ、私達は、宇宙と共に育った兎なのだから」
「地球の大地を当たり前だと思うように、宇宙で暮らす兎は、宇宙が当たり前なんだね」
開発者ボブは、なるほどと、
ルナウサとの語り合いを通じて、
兎が月なのかの概念的な疑問が
幾分か解決し、心が軽くなったのを感じた。
しかして、開発者ボブは思うのだ。
「地球の引力は物理的でありつつも、宇宙もまた無重力のようでいて、某かの鎖によって縛られていると思うのです、さながら螺旋構造群のように…」
月の砂は、砂漠の砂か…
3page
無為なようでいて、
決して無謀ではない試み
開発者ボブが地球を旅立ち
宇宙を調査する
この奇妙で奇っ怪な兎の調査に協力してくれたのはニャカラ島やLumenAstralisといった宇宙の調査する機関の協力あってこそだった。
ゆえに、ルーツを探る、
飽くなき冒険には探求心
および、
〈知りたい〉と思う欲望は
重要であり、
その欲望が欠けてしまった時、
人は生きとしいける者は
自由落下の法則に則り
宇宙の深淵にて空中分解していくのだろう。
「君のルーツはここだと、でも?地球から来た兎さん」
「わからない、けれど、ここが家であるかもしれないし、僕らはもっと、一つの点の中から始まったような、そんな感覚を憶えるよ」
神秘の世界で、思考を探す
それが果てしなく
終わりなき旅路だとしても
彼は問い続けるのだった。
4page
途方もない旅路、
其は求めれど
終わらぬ旅路
旅路の中で
巡るめく、銀河の海を
航海する旅人
ボブはそんな、旅への浪漫を
求めて地球を出て宇宙に向かった。
終わりなき旅路、
旅路の果てにあるのは
明文化されていない
未知と暗い星屑の海
其が何たるかを
常に思考の中で考える。
時に科学的で
時に摩訶不思議の領域にまで
作用していた。
なぜ、どうして?
其処に月があるのだろうか?
正解などない、
正しき解釈などないのなら、
紙面上の答えは
一つの解釈であって
別の解釈として捉えても
問題ないわけなのだが…
法則を言葉として捉えることで
存在を認識しなくてはならない…
というものがあり、
其が更なる深淵への暗闇へと
陥らせるものだと考えるのだ。
5page
資材には限りがある
現実には寿命がある
開発者ボブも
時間の中で生きる存在なのだから
そうした存在だからこそ
有限だからこそ
知りたいという探求心は
言葉として現れたのだと
思うのだ。
彼は考え続ける、
時に論理で
時に感情の中で
思考し続けることこそが
旅であり、月以外にも
まだ見ぬ兎はいるのだと
邂逅を求めて探索の旅路へ向かう。
呪文
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