宵闇鴉のシンカロン
暗闇をかき分けるように僕はニューカナヤマに向けて歩き続けていた。そのはずだった。
「完全に迷ったかも……ちょっとヤバいぞこれ」
今回の試験会場に指定されている『旧発電所地区』に近づくにつれ、その馬鹿げたほど歪んだ電磁放射は、僕の陽電子脳をおとぎ話に出てくる『ネルネ・ルネルネ』みたいにグチャグチャにしてくれた。まあ、URアイテムなんてまだ見たことないんだけど。
「<クロウズ>に入れるチャンスなんて、もう一生……」
黄昏梟の独立研究探索隊、『宵闇鴉』通称<クロウズ> 謎に包まれたフクロウたちの中にあり、更に我儘に、更に狡猾に、更に貪欲に、あらゆる奇跡を強奪すべく結成された特級エクスプローラ部隊。まだ見ぬ彼らに思いを馳せるたび、僕の胸の中のエンジンが否応なしにその回転数を上げてしまうのだ。
「今は考えるな、進め。 そんな簡単に……オロロロロォ!?」
不意に2時間17分32秒前に補給したばかりの『ソイレント・レッド』が口から盛大に噴出してしまったときは涙が出そうになった。グリーンと迷ったけど奮発して初めて買ったのになぁ……
膝が折れ、荒れた地面に手をを着いた先にあるはずの見えない染みを見つめながら本当に泣きたくなった。でも、その機能はだいぶ前に故障したままだったから安心だ。
「「君は―― こんなところで諦めるのかね?」」
不意に声が聞こえた。でもこれは聞こえた気がしただけのマクスウェルが作る幻聴だ。進め。
そして立ち上がっては一歩進み、また倒れることを繰り返すこと千二十五回。
「「君は―― こんなところで諦められるのかね?」」
僕はもう立てなかった。視界センサーもブラックアウトした。でもそんなことは関係ない。一歩でも先へとモゾモゾと這って進む。これじゃあ、まるでイモムシだ。でも進むんだ。
「君は―― こんなところでは諦められない『クロウラー』みたいだね」
急にレンズのピントが合ったように、はっきりとその涼々たる声が結像した。
顔を上げる。 いつの間にか雲は消え、煌々と輝く満月の下、星海船の制服を再生した宵闇鴉の星羅服が目に飛び込んだ。
瞬間、すべてを理解した僕の陽子脳が臨界を超え、まばゆい光を放つ。
「さて、クロウラーくん、我々<黄昏梟>の使命とはなにかね?」
「奇跡を解体して、世界を再構築することです」
「ふむ、では我が<宵闇鴉>の使命とはなにかね?」
「世界を蹂躙して、奇跡を簒奪することです」
「ふむ、では君の使命はなにかね?」
「奇跡に憧憬して、世界で楽しむことです」
「よろしい、ならば着いてきたまえ」
「マジで!?」
こうして、僕の初めての冒険が幕を開けたんだ。
そうして、僕は君に初めての名前を貰ったんだ。
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で、アバンからの第一話OP曲なわけですよ(願望)
ほんと晴天アポカリプスの雰囲気好きすぎて
厨二病の発作がおきたけど反省はしていない。
続きはAIか誰かが作ってくれるはず😇
呪文
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イラストの呪文(プロンプト)
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- Steps 12
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- Strength
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- Steps 12
- Scale 1.4
- Seed 1068816473
- Sampler LCM Karras