【TSポンコツ女神】第41話 「証明と、葉陰の追想」
あぶ著
『異世界帰りのTSポンコツ女神、信仰ゼロから配信で生き残る!』
第41話
「証明と、葉陰の追想」より
すがるような気持ちで、スマホを片手にパスポートを開いた瞬間、そのページの間から、一枚の写真がハラリと畳の上に落ちた。
「あ……」
それは、まだ俺が今ほどのダメ兄貴になる前。初めてのアルバイトで、指の皮をボロボロにして稼いだ最初の給料を握りしめ、雫を植物園に連れて行った時のものだった。
当時の俺は、忙しさにかまけて、ろくに雫を遊びに連れて行ってやれていなかった。申し訳なさから、「今日はどこでも好きな所に連れて行ってやる!」と息巻いて連れて来た温室。
他にも写真映えしそうな色鮮やかな蘭や、巨大な熱帯植物がたくさんあったのに、雫が「ここがいい」と言って足を止めたのは、なんだかよくわからない木の前だった。
花も咲いていない、ただ緑の葉っぱがボサボサ生えているだけの、地味な木だ。
呪文
入力なし