大天使様・『ザ・トゥルー・クリスマス』
1:『ホントにホントにサンタクロース』『喜ばれるプレゼント』『シャケ』……雪降る街には煌びやかな看板や広告音声が満ちていた。
今はまさにクリスマスシーズン。厳かとは言いにくいが、少なくとも魅力的かつ人々の刹那的欲求を満たすためのありとあらゆるビジネスチャンスが存在している時期だ。
そんな中、通りを四人の男たちが歩いていた。ラフな服装が彼らの無軌道さをアピールしている。
「クリスマスどうすんの?」「そりゃパーティーっしょ!」「女も連れ込む?」「朝まで前後だ!イエ―!」
おぉ、なんたることか!彼らは聖夜において破廉恥極まりない宴を開催するつもりのようだ!
だが、彼らのようにクリスマスを単なる祭日と考えている者は少なくない。信仰は薄れ、やがて風化していく……。
その時である!!
2:「オッ、見ろよあの子」「ヤッベ!カワイイ!」「実際豊満だぜ!?」「前後したい!」
彼らの視線の先には、金髪の女性。近寄りがたいアトモスフィアを感じさせてはいるが実際美しい顔立ちをしており、その胸は豊満であった。
すると、彼女は男達に気づいたのか、足早に近づいてきた。このような好色の視線を向けられれば大抵の女性は不快感を覚え、逃げ出すであろう。
しかし、敢えて歩み寄ってきた様子を見て、男達は色めき立つ。もしや、ナンパ待ちだったのでは?そんな楽観的な思考すら過るほどだ。
そして、女性は男達の前に立つと……その正体を現した!
3:「ドーモ、大天使です」
そうアイサツする彼女の頭上にはヘイロー!そして背中には翼!そう、彼女は天使……それも、天罰を司る大天使だったのだ!
「アイエエエエエエ!?」「天使!?天使ナンデ!?」「コワイ!!」「ゴボボーッ!」
正体を現した大天使の姿を見た男達はARS(エンジェル・リアリティ・ショック)を発症!しめやかに失禁、嘔吐!
それもそのはず!天使という神話生物が実際に現れたことに加え、閲覧者の皆様にはフィルターを掛けてはいるが、彼女の天使としての真の姿は人間とかけ離れているからだ!
「貴様らはクリスマスをナメた。その報いを今、受けるのだ」
4:「だって、クリスマスなんてただの祭日だろ……?」
大天使は屈み込み、男のうちの一人の襟首を掴んだ!
「クリスマスは救世主の降誕を祝う日だ。乱痴気騒ぎをするための日ではない」
「アイエエエ……アイエーエエエエエ!」
男達は恐慌状態に陥ってはいたが、構わず大天使は言葉を続ける。
「破廉恥な宴はやめ、厳かに救世主の降誕を祝え。さもなくば街ごと灰にする」
「ハイ!実際救世主に祈ります!」
「本当か?」
「ハイ!」「家族が大事です!」「クリスマスは聖なる日です!」「前後もしません!」
ドゲザする男達!それを見て満足したのか、大天使はいずこかへと姿を消していった……
かくして、我々の世界に日常が訪れた。だが油断はならない。いつの日か、人々がクリスマスをナメた時、かの大天使は再び姿を現すかもしれないのだから……!
呪文
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