枯れぬ愛
「花はね、枯れても美しいの」
そう笑う君がとても愛おしかった。
僕たちは恋をしていた。
「わたし、花がとっても好き!!」
あの娘は君によく似て花がとても好き。
無邪気さは僕に似たかな?
「そう、綺麗なのね 」
君の目は少しずつ病で見えなくなっていた。
君の世界から花を奪う悪魔が憎らしかった。
あの娘も立派に育った。
また2人でこの場所へ。
「ねぇ、あなた。そこにいる?」
不安げに君が呟く。僕は君の手を取る。
「花は、綺麗かしら?」
「綺麗だよ、とっても」
花は枯れても美しい。50年も前の君の言葉を思い出す。
「そう、綺麗なのね」
涙ぐむ君がとても愛おしかった。
僕たちは恋をしている。
これからも、ずっと。
呪文
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