小説『アゴニーの苦悩』【ニャンノ世界】
『アゴニーの苦悩』
アゴニーさんは悩んでいた
苦悶していた。
いや、おっさんの苦悩なんて…
と大半の紳士たちは
おねえさんの苦悩を見たくて
堪らないのだから、当然だ。
だが、アゴニーさんは
フリーダムホークの
ニャリウッド NyaNyarBros
で数多くの面白い映画を
制作しているにも
関わらず、未だ…
彼の中でもっと、何か
できたはずだ…とか、
もっと、面白くできるのでは
ないかと考え、思考し
逡巡するうちに…
「時間が俺を狂わせるな…うーん」
あぁでもない、
こうでもない、
いつしか、甲乙甲乙と
堂々巡りで駆け巡る
苦しみ…
既知を制作するのは簡単だ…
しかし、其以上の感動はない…
しかし、未知を制作するのは
茨の道であり、其は産みの苦しみと同義である。
大衆にウケるかウケないか
考えちまう自身を殴り
再び考え、思考する
大事なのは、自分の道だろう
相手が何だとかかんだとかで
振り回されていては
二番煎じの大衆に媚びた映画ではないか!
強く否定すれば
するほどに浮かび上がるシャドウ
だが、アゴニーさんは
苦悶し続ける
いつしか、悩んでて
よかった苦悶式と
呼べるようになるまで、
孤独の思考実験は続くのであった。
「螺旋階段に囚われる、鳥、あるいは兎…そして、心の老朽化が私を狂わせる…」
斜陽のごとき心情であった。
呪文
呪文を見るにはログイン・会員登録が必須です。