本日のランチ
『食彩探訪』11月号特集
「11月16日 ケチャップ色の幸福──ナポリタンスパゲッティランチ」
文・撮影:田嶋 達郎(グルメ記者)
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日曜の昼下がり。窓辺のテーブルに射し込む柔らかな光が、皿の上に広がる赤いソースをいっそう鮮やかにしていた。
今日の日替わりは、どこか懐かしさを誘うナポリタンスパゲッティセット。
白い大皿に盛られたスパゲッティは、見た目からして“王道の洋食屋スタイル”。
ケチャップの甘酸っぱい香りがふわっと立ち上り、ソーセージの香ばしさと重なりながら食欲をくすぐる。
麺はほどよく柔らかく、どこか家庭的。それでいて、バターのコクや胡椒の香りがしっかり仕事をしていて、ひと口目から心をつかまれる。
付け合わせのコーンスープは、まろやかな甘みとつぶつぶ食感が楽しい。
その優しさが、濃い目のナポリタンをふわりと包み込んでくれる。
さらに、サラダはみずみずしく、バルサミコの香りが軽やか。
脇役のようでいて、皿全体のバランスを絶妙に整えてくれる存在だ。
そして嬉しいのが、焼きたてのパン。
外はパリッと、中はふわり。
ソースを少しすくって食べれば、スパゲッティとはまた違った楽しみ方が広がる。
どこにも派手さはない。
けれど、気取らず、やさしく、どこか胸の奥に沁みる。
そんな“日曜日の正しいランチ”が、ここにはあった。
──ナポリタンは、やっぱり私たちの青春の味だ。
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