小説『赤い屋根と空虚な跡地』【ニャンノ世界】
『赤い屋根と空虚な跡地』
人類が争いを繰り返し
悲劇を繰り返す中でも
建物というのは
崩壊しながらも
遺跡として残っていることがある
外縁地帯には、そうした
黎環時代以前の産物を発見することがある。
人は獣じみていて、
時に牙というもので
世界を自分勝手に
滅ぼしてしまうが
文明の跡地というのは
獣とはことなり、
万人の知恵の集合が
結集しており、
戦とは別の方面で
穏やかな日常が
その家で暮らしていたのだと
思うと…浦部カナトは悲しく
「なんだい…、あぁ、見廻りありがとね、林檎が実ってね、終末林檎どうぞ」
護りたい、この場所を…
崩壊すれども全てではない
なればこそ、日常の中にある
世界を空間を領域を
自らができることを
外套武器にて思うのだ。
呪文
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