黒髪シンデレラ?ハルネ
だが、その華やかな舞台の裏には、誰にも言えない秘密があった。
ウメコ「いらっしゃいませ。スライマークへようこそ。」
深夜のファミリーレストラン。黒髪に染めた女の子がハルネである。(店ではウメコと名乗っている。)
テーブルを拭きながらそっとため息をついた。アルバイトの理由は、家計のため。家は裕福とは言えず、親違いの兄弟を養うためにはアイドル活動の収入だけでは、どうしても足りない現実があった。
唯一その事を知っているのは、リーダーのフユキと一部のスタッフだけ。彼女は何も言わず、ただ「無理はしないで」と肩にそっと手を置いてくれた。
最近演技力にも評価が上がってきたハルネは「サムライガールズ」というドラマに出演することになった。ハルネはドラマ出演のために、髪を黒に染めるよう指示を受ける。仕事であれば隠し通せる。そう思っていた。
だが、スタジオでの撮影後、楽屋に戻る途中——
???「・・・あれ?」
背後から声がした。
同期のナツミだった。明るく元気なグループのエース。ふとした拍子にハルネの横顔を見て、思わず立ち止まった。
ナツミ「なんかさ、見たことある気がするんだよね、その髪と、その横顔・・・え、もしかして・・・?」
心臓が跳ね上がる。
ハルネ「な、なんでもないわ!ちょっとドラマの役でこうなってるだけだし!」
ハルネ「あはは、そっかー。でもさ・・この前、友達と行ったレストランの店員さんに、そっくりだったんだよね~。気のせいかもだけど~」
ハルネ「そ、そんなわけないでしょ!馬鹿じゃないの!?」
ハルネは目をそらして、足早にその場を立ち去った。
その夜、ハルネは事務所のフユキの楽屋に顔を出した。無言で座ると、ぽつりとつぶやく。
ハルネ「・・もう、隠すの無理かも」
フユキ「ナツミちゃんに気づかれたのね?」
ハルネ「うん・・まだ確信はないけど、バレるのも時間の問題かも」
フユキは静かに頷くと、紅茶を差し出した。
フユキ「でも、あなたは間違っていないわ。働く理由も、選んだ方法も、誰にも責める権利はない」
ハルネ「でもアイドルなのに・・夢を売るはずなのに、私、裏じゃ・・・」
フユキ「夢ってね、綺麗なだけじゃないのよ。ハルネが頑張ってる姿を、もしみんなが知ったら、きっと誇らしく思うわよ。ナツミちゃんも、そう。」
ハルネの目に、じんわりと涙が浮かぶ。
ハルネ「ありがとう、フユキ姐さん・・」
数日後、ナツミがそっとハルネに言った。
ナツミ「あのときのこと、まだ気になってる?」
ハルネ「・・・ちょっとだけ」
ナツミ「そっか。じゃあ、私からは何も聞かないよ。でも・・もし何か困ってるなら、いつでも言って?」
ハルネはツンと顔をそらしながらも、小さく呟いた。
ハルネ「別に・・・ありがと、なんて言わないんだから・・・」
ツンとした表情の裏にある、誰にも見せない優しさと弱さ。
黒髪のシンデレラは、今日も少しだけ前を向いて歩き出す。
ハルネ公式ストーリー
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