悲劇のサフィラ
https://www.patreon.com/posts/tragic-saphira-138844747?utm_medium=clipboard_copy&utm_source=copyLink&utm_campaign=postshare_creator&utm_content=join_link
■前回:
https://www.chichi-pui.com/posts/4fb2b853-1164-4481-8fd5-a14a4f67c6d3/
その時、キリアンの夢にサフィラの声が響いた。
「あなたの記憶の中で、私は永遠に生きているわ。だから……絶対に忘れないで……」
サフィラの最後の言葉が、彼女の意識が完全に消滅する直前に、キリアンの心に直接語りかける。そして、彼女の体は光の粒子となって、彼の心へと溶け込んでいった。
「サフィラ……やめろ!君が……!」キリアンは叫びながら目覚める。
しかし、目の前にあったのは、毒に侵されたかのような紫に変色し、既に壊死したサフィラの亡骸だった。
彼の体を庇うように覆いかぶさっていた彼女の体は、砂のように崩れ落ちていく。
その体から湧き出るように、再び精神の砂嵐が吹き荒れた。
キリアンは、顔に降り注ぐものが、涙なのか、砂嵐なのか、もはや分からなかった。
彼は再び意識を失い、嵐が去った後、ただ一人で立ち尽くしていた。彼の心には、最愛の人が消えたという悲しみと、彼女が命をかけて守ってくれたという、確かな愛の記憶すら残されていなかった。
■次回:
https://www.chichi-pui.com/posts/c79f0f45-2323-4a6e-ad5c-8dbeda024d37/
呪文
入力なし