狐に油揚げ食わせとけば機嫌が良くなると思うなよ
話の流れとしての前回はこちら。前回が8月だったことに自分で愕然としています。忙しかったのとふざけたい月間が続いてしまったんや…。
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「……」
酒を切らしていた。
私のせいではない。たまたま泊まった宿で前日の団体客が酒を飲みつくしてしまったらしい。
化け狐は部屋に入ってそれを聞いてから不機嫌を隠そうともしなかった。
横に寝っ転がって着物もいつも以上にぐずぐずに気崩れている。
このまま不機嫌をあてられつづけたら私が衰弱しそうだったので、一人で宿をいったん出て近所をまわってみた。
早めに宿へ入ったことで開いている店や人の往来はそれなりに多い。
が、あいにくと酒屋は見当たらず。
仕方無しに代わりに見かけた豆腐屋で油揚げを買い込むことにした。
私が戻った瞬間、上体を起こして期待の眼差しでこちらの懐を見たが抱えているのが一升瓶で無いことに気付くと、もはやこちらを見向きもしない。
そんな獣の振る舞いそのものに少し笑いそうになるが堪えた。
私も言い訳するのも面倒、というか本来言い訳する必要もない。
無言のまま皿に載せた油揚げを彼女の前に差し出すと無言のまま手づかみで油揚げを次々と放り込んでいった。
咀嚼をしながらこちらを睨む様は
(狐に油揚げ食わせとけば機嫌が良くなると思うなよ)
と語っているようだった。
私がそれを無視して風呂へ入って出たときには皿は綺麗に空になっていた。
外からひぐらしの声が聞こえる。
彼女は枯葉と書いて『こよう』と自称している化け狐。
本名を知っているのは百年以上前に親交があった古狐達と稲荷大神様だけです。
彼女は長い年月、呪い憑きや怨霊の類を祓い消滅させてきた反動で呪いに全身を蝕まれているので彼女に迂闊に触った生物はやばいことになります。
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#着物スタイル pariparifilms様ユーザ主催企画参加分です。
ちょっと全年齢か微妙なセンですが…駄目そうだったらあとで外します。。
ここ数週間、忙しすぎて小話を挟む余裕もない状態が続いて、ようやく少しマシになってきました。、
特にこの枯葉様においては自分が画像生成でシリーズを始めるきっかけになったキャラクターなので出来るだけ文章入れたくなるんですよね。
途中の旅の話が間延びしましたがそろそろ第一章の纏めフェーズに入りたいですな。
こちらの化け狐のシリーズは #廃神社のはぐれ狐 タグで纏めています。
よろしければ以下のリンクからどうぞ。
https://www.chichi-pui.com/illustration/posts/tags/廃神社のはぐれ狐/
呪文
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