『鉄棺のスタロン』【ニャンノ世界】
それは、人の身でありながら、
異常を秘めた人物であった。
幼き頃より、スタロンは、
その身に宿る闇と対峙し
自身の闇を背けようとしていた。
越夜隊に入り、そして、初陣を晴天アポカリプスにて味方たちが戦死していくありさまを見て、彼女は、悲しくもありながら
脳内で心の奥底で思った。
「この死を再利用したい…」
骨がはだけ、真皮が露出し、臓物が出ているのを見つめ、恍惚に脳が震えた。
異常者であった。
鉄棺のスタロンは、その死を利用し、
何度も何度も機械兵士として、
構築、越夜隊が何度も立ち上がれたのは
この狂気の異常者がいたからこそ
勝ち得たものであった。
この勝利を越夜隊は喜んだ…
だが、悲劇はやってくる…
ハッピーエンドのままでは
終わらなかった。
そう、越夜隊が祝勝会を始めた日のことである。憤怒に燃える、怒りの軍団が襲撃しに来たのだ。
ガラスが割れ、装甲車が突入、
機関銃によって、
越夜隊兵士の体に穴が開く
綺麗だった顔が
人形のように精巧な
どんなに可愛くとも
鉄の弾に当たればくだけ散ってしまう
この悲劇を鉄棺のスタロンは、
夢のような、素敵なものだと
感じた。
スタロンもまた、
ボロボロになって死ぬ…
はずだったが…
どうやら、天は、神々は
彼女をスタロンを死なせなかった。
死は瞳の世界が真っ暗になること
なのだとしたら、スタロンは
死んでいなかった。
なぜなら、彼女は越夜隊の英雄なのだから
死なせるわけがなかった。
上層部は彼女をサイボーグ化させる。
人類が生きるのに必要なものを残し
それ以外は排除した…
かくて、彼女は鋼鉄の棺に、
ヒューマノイドとして
降臨するのであった。
「貴方に命ずるわ…」
今、ネオ越夜隊として
名無しのジェーンがアミガルズによって
逮捕されたあと、
現在、彼女が中核として
ネオ越夜隊を率いていた。
越夜隊が形骸化しつつある中で
鉄棺のスタロンはノスタリア共和国を
支配し、機械工場もとい、
実験教会にするつもり、であった。
そこでは、生身の体は不必要であり、
死せば、再利用し、サイボーグとして
構築する、命の、機械仕掛けのサイクルシステムをノスタリアの地にて築こうと
考えていた。
「さぁ、皆さん、越夜に夜明けをもたらしましょう」
彼女の眼前には、人の身から逸脱したものらであふれ帰っていた。
死すら利用し願望機へと変える
鉄棺のスタロンは、信仰のままに
進攻する…
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